癌の薬物治療は年々高額化しており、2000年を起点とすると、2009年の国民医療費は12.4%増、癌医療費は42.1%増、高額療養費は101.3%増にもなっている。そこで、患者の経済的負担を軽減する方策を検討するため、実態調査として、癌臨床医を対象に自記式の調査が行われた。調査は大学病院やがんセンターなど全国42施設の医師には手渡しで、それ以外の医師にはインターネットを通じて実施した。

 その結果、回答は1176人(回答率19.7%)、回答した医師の臨床経験年数は平均17.8年。入院患者について、回答した医師は797人、担当患者数は1カ月平均19.7人で、経済的理由で治療変更もしくは中止した患者は過去1カ月間に1.5±2.1人だった。

 外来患者では、回答した医師は864人、担当患者数は1週間平均で39.3人、経済的理由で治療変更もしくは中止した患者は過去1カ月間に1.6±1.8人であり、「大変深刻な事態になっている」と濃沼氏。また治療を変更した例では、分子標的治療が半数を超えたという。

 経済的理由による治療変更もしくは中止の内訳は、固形癌では、予定した治療の中止が15.9%、予定した薬剤の変更が56.1%を占め、治療の途中中止が13.4%だった。血液癌では、予定した治療の中止は21.6%、予定した薬剤の変更が33.8%、投薬量の減量が20.3%、途中中止が16.2%だった。

 「医学的理由ではなく、経済的理由で、予定していた治療を断念せざるを得ない、変更せざるを得ないという事態はなんとしても避けなくてはいけない」と濃沼氏は話した。