治療抵抗性再発尿路癌患者に対し、低用量ゲムシタビン(GEM)+パクリタキセル(PTX)による地域連携外来治療は、安全に施行可能で、除痛効果も得られることが示された。地域医療との連携により、患者や家族の安心感の増加や通院の負担軽減が得られている。10月27日から29日まで名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、長崎大学病院泌尿器科の宮田康好氏が発表した。

 MVAC(メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチン)療法、GC(ゲムシタビン、シスプラチン)療法に抵抗性の尿路癌患者では、次の治療法について臨床的に有用なものは知られていない。 

 宮田氏らはこのような患者に対し、GEM+PTX併用化学療法を行ってきた。過去の検討では、他の化学療法と比べて長期の生存データが得られている。
 
 当初は28日を1サイクルとして、GEM700〜1200mg/m2とPTX 70〜150mg/m2を1、8、15日目に投与していたが、加療を要する副作用を伴わずに治療を完遂することが困難な患者が多かった。
 
 治療による予後の改善は期待されるものの、根治が難しいという事実は変わらない。宮田氏らは「副作用を抑えてQOLを維持し、在宅・外来治療で行いたい。しかし、何らかの抗腫瘍効果が得られなければ意味がない」と考え、検討を続けてきた。
 
 今回は、各種の治療後に再発・転移し、根治が困難と判断された尿路上皮癌患者に対し、外来化学療法として行った低用量のGEM+PTX併用化学療法について検討が行われた。治療を行う上で、QOLの維持を目指して地域の医療・介護ネットワークと連携していることから、その有用性と問題点も検討された。

 対象は、外来で同治療を行った尿路癌患者30人(うち男性22人、平均年齢74.3歳)。全例にシスプラチンを含む化学療法の治療歴があり、再発・転移を認めた。全例がこの治療以外に選択肢がないと判断されている。

 GEM 700mg/m2、PTX 70mg/m2は1、8日目に投与し(状況により1日目のみ)、その後2週間休薬する。1サイクル目は入院、その後は外来で行う(1回の所要時間は約5時間)。

 除痛効果として、Visual analogue scale(VAS)と麻薬を含む鎮痛薬の投与量を評価した。

 VASスコアは、治療前と比べて治療後1〜3カ月に有意に低下した(p<0.001)。総合判定において、鎮痛薬の減量とVASスコアの低下の両方を認めた患者は26.7%、これに鎮痛薬の減量またはVASスコアの低下を認めた患者を合わせると、83.3%を占めた。他のレジメンではこのような結果は得られなかった。

 また、GEM+PTX併用化学療法に直接起因すると思われる副作用での入院はなかった。

 対象中8人は、地域医療連携組織「長崎在宅Dr.ネット」またはかかりつけ医との連携を希望・同意し、同大学病院との連携診療のもと、採血や診察、食欲低下時の輸液などの対応が連携医のもとで行われた。診療の情報交換は現在FAXやe-mailで行われているが、電子カルテの共有化が進行中であるという。

 その結果、大学病院への通院回数の減少や通院にかかる時間の短縮につながった。宮田氏は「この意義は私達が予想する以上に大きい」と評した。時間の短縮により、患者・家族ともに昼食が時間通りに摂取でき、午後から仕事に出られ、家事も普段のペースで行うことができる。連携診療により、食欲がない時に気軽に輸液が受けられ、安心感が増し、採血や投薬、診察がいつでも受けられるため不安が減少する。さらにバックアップ体制があるため、家族が在宅療養を受け入れやすくなったことも大きい。

 今後の課題としては、同治療の抗腫瘍効果や生命予後に与える影響の検討、在宅診療への移行時期の判断や家族の受け入れ体制の整備、在宅担当医間の終末期医療への移行に対する考え方や受け入れ態勢のばらつき、が挙げられた。
 
 宮田氏は「長崎医師会、長崎在宅Dr.ネット、長崎大学地域連携室と共同で、より地域の特性に合ったシステムの構築を目指している」と話した。