進行・再発大腸癌に対する一次治療として、神経障害の軽減を目的にしてオキサリプラチンを中断、再開したmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法は、海外での臨床試験OPTIMOX1で示されている病勢制御率、オキサリプラチンの再導入率よりも良好で、日本人において全生存期間を延長させる治療法であることが示唆された。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、東京がん化学療法研究会を代表して嶋田顕氏が発表した。

 オキサリプラチンを用いるFOLFOXレジメンは、末梢神経障害によって治療継続が困難になるケースが多い。海外では、FOLFOXレジメンのうち、途中でオキサリプラチンを中断してsLV5FU2に変えて投与した後、再びFOLFOXレジメンを行う治療の有効性を評価したOPTIMOX1試験で、奏効率59.2%、病勢制御率86.4%、オキサリプラチン再導入率40.1%と報告されている。

 OPTIMOX1試験でのオキサリプラチン投与量は130mg/m2で、オキサリプラチン再導入率が40.1%と低かった。そのため、同グループは、国内承認用量である85mg/m2に減量し、さらにベバシズマブを併用することで病勢制御期間の延長、神経障害の軽減、オキサリプラチン再導入率の向上が得られるかどうかを評価する臨床試験(TCOG GI-0802試験)を実施した。

 対象は、2008年6月〜2011年6月までに、3カ月以上の生存が期待でき、1つ以上の評価可能病変を有し、十分な臓器能を有する患者。オキサリプラチン85mg/m2でのmFOLFOX6とベバシズマブ5mg/kg併用を6コース、sLV5FU2+ベバシズマブを最大12コース、mFOLFOX6+ベバシズマブを病勢進行(PD)まで実施する試験デザインとした。維持投与期間であるsLV5FU2+ベバシズマブ投与中にPDが確認された場合はオキサリプラチンを再導入することとした。主要評価項目は病勢制御期間(DDC)で、副次評価項目は安全性、奏効率、オキサリプラチン再導入率、全生存期間とした。

 オキサリプラチン再導入までSD以上であれば、無増悪生存期間がDDCとなる。sLV5FU2による維持療法中にPDとなってしまった場合はPD後にオキサリプラチンを再導入し、mFOLFOX6+ベバシズマブ投与中にPDになるまでをDDCとした。

 試験対象者40例の背景は、年齢中央値65歳(36-74歳)、男性75.0%、ECOG PSが0だったのは87.5%、結腸癌が70.0%、転移部位は肝臓72.5%、肺50.0%、腹膜12.5%、リンパ節32.5%。原発巣切除ありが82.5%だった。合併症があったのは50%で、うち高血圧が20%、便秘症17.5%、胃腸炎12.5%、貧血5.0%だった。

 40例のうち、最初のmFOLFOX6+ベバシズマブ投与を受け、sLV5FU2+ベバシズマブに移行したのは35例、オキサリプラチンを再導入したのは30例だった。

 40例の病勢制御期間の中央値は11.1カ月(95%CI:9.1-12.4カ月)、全生存期間は中央値にまだ到達せず、現時点での参考中央値は22.4カ月だった。

 RECIST基準での奏効率は、CR 0例、PR 18例、SDが19例で、奏効率45.0%、病勢制御率は92.5%だった。WHO基準での奏効率は50.0%だった。

 sLV5FU2+ベバシズマブ投与中に患者希望によりオキサリプラチンを再導入した1例を除き、39例においてオキサリプラチンを再導入できたのは74.4%だった。オキサリプラチンを再導入できなかった理由は、導入期mFOLFOX+ベバシズマブ投与の段階で病勢増悪したのが1例、有害事象で試験治療中止が3例、手術で試験治療中止が2例、本人希望が2例、主治医判断で中止が1例、転院のため中止が1例だった。

 プロトコール通りにsLV5FU2+ベバシズマブを12コース完遂した症例は37.5%だった。

 有害事象は、グレード3以上の血液毒性で頻度が高かったのは白血球減少(7.5%)と好中球減少(27.5%)で、グレード3以上の非血液毒性は、高血圧が12.5%、神経障害(感覚性)が10.0%だった。

 これらの結果から嶋田氏は、OPTIMOX1試験を比較してL-OHPの投与量が低いにもかかわらず、ベバシズマブと併用することで同等の病勢制御期間となり、病勢制御率やL-OHPの再導入率はOPTIMOX1試験に比べて改善したとまとめ、mOPTIMOX1+ベバシズマブ療法(mFOLFOX6オキサリプラチン間欠投与+ベバシズマブ併用療法)は一時治療期間を延長させることで全生存期間延長につながる治療法の1つであることが示唆されると締めくくった。