子宮頸癌の術後補助療法として、全骨盤照射や化学放射線療法が行われているが、化学療法単独でも再発率、死亡率に違いがなく、非扁平上皮癌かつ腫瘍径4cm以上では化学療法単独のほうが予後は良い傾向のあることが、レトロスペクティブな解析で明らかになった。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、静岡がんセンター婦人科の武隈宗孝氏らが発表した。

 子宮頸癌治療ガイドライン(2007年版)には、Ib期とII期の治療として、骨盤リンパ節陽性症例には術後補助療法が推奨されている。術後補助療法としては全骨盤照射や同時併用化学放射線療法(CCRT)が治療の一つと位置付けられているが、化学療法の有効性は不明とされている。

 武隈氏らは、子宮頸癌リスク因子陽性例において、術後補助療法としての化学療法(CT)と放射線療法(RT)/CCRTを比較した。対象は、2002年11月から2010年12月に、広汎子宮全摘術を行った子宮頸癌Ib1-IIb期の283人のうち、病理学的にリスク因子が確認された143人。

 病理学的リスク因子は、脈管侵襲陽性、深い間質浸潤、頸部腫大が見られる場合をintermediate risk、傍子宮組織浸潤、リンパ節転移陽性をhigh riskと定め、術後補助療法の適応とした。一方、術後合併症のある症例や腹水細胞診陽性例、患者のRT拒否ではCTが行われた。

 CCRTにおける化学療法はシスプラチンと5-FUで、CTではパクリタキセルとシスプラチン、パクリタキセルとカルボプラチン、イリノテカンとシスプラチン、あるいはドセタキセルとカルボプラチンが使用された。

 143人の年齢中央値は49歳(20-74歳)。組織型は扁平上皮癌が61.5%、非扁平上皮癌が38.5%、進行期はIb1期が39.2%、Ib2期が32.2%、II期が28.7%。腫瘍径は4cm未満が53.1%、4cm以上が45.5%、不明が1.4%だった。

 CTを受けた患者群(31人)とRT/CCRTを受けた患者群(112人)に分けたところ、2群間で有意差が見られたのが、非扁平上皮癌(CT群は58.1%、RT/CCRT群が33%)とリンパ節転移あり(CT群は29%、RT/CCRT群が52.7%)だった。

 毒性は、CT群でグレード3/4の好中球減少、発熱性好中球減少、貧血が多く見られた。RT/CCRT群では消化器毒性が多い傾向があり、腸閉塞、水腎症、腸管穿孔が有意ではないがRT/CCRT群で多かった。

 再発率はCT群で19.4%、RT/CCRT群は22.3%で、有意な違いはなかった。死亡率はそれぞれ12.9%、17.9%で、有意差はなかった。再発部位は、骨盤内再発は2群でほぼ同じだったが、遠隔転移再発はRT/CCRT群で多い傾向があった。

 多変量解析の結果、再発および死亡に影響を与える因子は、どちらも、組織型(非扁平上皮癌)と腫瘍径(4cm以上)だった。そこで、非扁平上皮癌かつ腫瘍径4cm以上の患者(28人)に限ると、再発率はそれぞれ30%、66.7%、死亡率は30%、66.7%と、RT/CCRT群で高い傾向が見られた。

 また4年無病生存率はCT群で78.1%、RT/CCRT群は72.9%で大きな違いはなかったが、非扁平上皮癌かつ腫瘍径4cm以上の患者ではそれぞれ70%、21.3%となった。

 この違いについて武隈氏は、「非扁平上皮癌のうち、特に腺癌では放射線療法の治療成績が良くないためだろう」と話した。また今後の課題として、CTの適切なレジメンの開発、さらにCTとRT/CCRT、あるいはCTとCCRTを比較した無作為化試験が必要であるとした。

 CTのレジメンに関し、現在、婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)では、子宮頸がんIb期・IIa期リンパ節転移症例を対象としたイリノテカン/ネダプラチンによる術後補助化学療法のフェーズ2試験が実施されている。また関西臨床腫瘍研究会(KCOG)では、武隈氏らが、子宮頸癌Ib・IIa期リンパ節転移症例を対象としたパクリタキセル/ネダプラチンによる術後補助療法のフェーズ2試験を進めている。