大腸癌同時性肝転移に対する肝切除前のmFOLFOX+ベバシズマブ投与は、奏効率は68.4%で、標的病変46病巣を評価した結果、完全奏効(CR)の4病巣、部分奏効(PR)の29病巣のうち病理学的CRはCRの2病巣、PRの2病巣の計4病巣となり、33病巣のうちの12.1%であったことが示された。癌の痕跡が見られない例もあった。ただし、画像上CRが得られたとしても癌の遺残の可能性があるため、切除の必要があると考えられた。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、東北大学肝胆膵外科の片寄友氏が発表した。

 同グループは、大腸癌同時性肝転移の初期治療を確定するため、「同時性肝転移を有する進行結腸・直腸癌に対する肝切除前mFOLFOX6+ベバシズマブ療法の有用性と安全性を検討する多施設共同フェーズ2試験であるBeFORE study(Bevacizumab plus FOLFOX6 chemotherapy for Resectable case of liver metastasis:Miyagi HBPCOG-004)を実施している。

 試験デザインは、同時性肝転移を有する結腸・直腸癌のうち、原発巣を切除して癌の遺残なく、肝外転移がない症例を対象に、mFOLFOX6を1コース、mFOLFOX+ベバシズマブ療法を6コース、mFOLFOXを1コース投与し、4〜8週後に肝切除を行うというもの。

 対象患者の適格基準として、肝切除術が考慮されうる同時性肝転移の基準として、転移巣は10個以下、Child-Pugh Aに相当する肝機能を維持、肝臓外科医が切除可能と判断した患者としている。

 主要評価項目は奏効率で、副次評価項目として安全性、切除率(R0率)、組織学的効果、肝転移グレードの変動、無増悪生存期間、無再発生存期間、全生存期間としている。

 今回、この試験の中間解析として、20例でのmFOLFOX+ベバシズマブの病理学的効果について検討した。

 患者背景は、男性13例、女性7例、年齢中央値は62歳、PSは全例が0。原発巣が結腸だったのが16例、直腸だったのが4例、肝転移巣中央値は2個(1〜7個)で、単発転移が5例。転移総数は54個で、3個以下が15例、最大径中央値は2.1cm(1.03〜12.9cm)、両葉が11例だった。

 20例のうち、治療を完遂できたのは15例、非完遂4例(口内炎、脳梗塞、肝転移増悪、蕁麻疹)、精査で血管腫と診断されたのが1例だった。完遂例と蕁麻疹が見られた1例の計16例が肝切除され、16例ともR0切除だった。

 追跡の結果、RECIST判定された19例のうち、CRが2例、PRが11例、SDが5例、PDが1例で、CRとPRを合わせた奏効率は68.4%だった。

 肝切除された16例について組織学的効果判定を行った結果、グレード0(無効)は0例、グレード1(軽度)は4例(25.0%)、グレード2(かなり効果)は9例(56.3%)、グレード3(著効)は3例(18.8%)だった。

 個々の標的病変46病巣について病理学的評価を行った結果、CRで4病巣、PRで29病巣、CRの4病巣のうち2病巣が腫瘍の痕跡が確認されず病変なしとなり、2病変は病理効果グレード0と2だった。PRのうち2病巣が病理効果グレード3だった。奏効例の33病巣のうち4病巣で病理学的CRが得られ、病理学的CR率は12.1%となった。

 肝切除後の在院日数は中央値13日、平均16日で経過良好だった。

 片寄氏は、肝転移を有する患者の治療方針として、術前治療にてベバシズマブを用いた結果、癌の痕跡がないほど効果が得られた例なども含めて病理学的CR率が12.1%だったとしつつ、画像上CRが得られても癌の遺残の可能性が高いため、画像CR例でも切除の必要があるとした。