ラパチニブを使用した乳癌患者を対象とした製造販売後調査の第1回中間報告で、副作用の発現は開発段階の報告とほぼ同じであることが確認された。また抗HER2抗体で危惧される心機能異常はラパチニブでは1.0%、間質性肺疾患の発現は0.7%であることも明らかになった。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、がん研有明病院乳腺センター化学療法科の伊藤良則氏らが発表した。

 ラパチニブは、HER2過剰発現が確認された手術不能乳癌または再発乳癌で、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤およびトラスツズマブによる化学療法後の増悪もしくは再発の患者に対し、カペシタビンとの併用療法として承認され、2009年6月に販売が開始された。

 調査は2009年6月から開始された。観察期間は1年間で、投与開始から6カ月後(調査票1)と7カ月後から12カ月後(調査票2)に分かれている。今回の報告は主に投与開始から6カ月後までのデータをまとめたものであるという。

 2011年6月30日時点で、契約施設数は1024施設、登録症例数は2974人。調査票を回収した症例数は2113人、調査票固定症例数は1160人で、安全性解析の対象は1155人となった。

 年齢中央値は58歳(24-96歳)、全身状態はPS 0の患者が34.9%、PS 1が43.5%、PS 2が11.8%で、PS 3の患者も7.7%、PS 4も1.7%含まれていた。HER2過剰発現はIHC 3+および/またはFISH(+)が92.6%だが、HER2が確認されていない症例は7.4%だった。転移部位は、リンパ節が44.8%、骨が42.5%、肺が41.9%、肝臓が36%、脳が30.4%、胸壁が17%、乳房が8.2%だった。

 投与状況は外来での投与が84.9%を占め、投与期間は24週間以下が54.7%、25週間以上が44.5%だった。投与中止・終了は66.3%で、その理由として、原疾患の増悪が38.4%、有害事象が14.7%であった。

 副作用は73.8%(852人)に認められ、重篤な副作用は10%(116人)だった。なお重篤な副作用は、有害事象による死亡、死亡につながるおそれのある症状、治療のために入院または入院期間の延長が必要になる症状、日常生活に支障をきたす程度の機能不全の発現を示す症状等、と定められた。

 重点調査対象の副作用では、下痢が46.1%、発疹/皮膚異常が41%、肝機能異常が10.1%、心機能異常が1.0%、間質性肺疾患が0.7%だった。心機能異常が認められた12人のうち、重篤な副作用は6人で、死亡は1人。間質性肺疾患が認められた8人では、重篤な副作用は7人で、死亡は1人。副作用による死亡は6人(0.5%)だったが、このうち3人は原疾患の増悪の可能性があった。

 この結果から、「中間集計時までに観察された副作用は、開発段階で報告されているものとほぼ同等であった」とまとめた。また心機能異常について、伊藤氏は「トラスツズマブと比べて、やや少ないという印象はある」と話した。