去勢抵抗性前立腺癌患者の検討から、一次内分泌療法の奏効期間が長い症例、またはドセタキセル導入時に貧血がない症例は、ドセタキセルによる治療効果が良好と予測されることが示された。10月27日から29日まで名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、京都府立医科大学医学部医学科腫瘍薬剤制御学・泌尿器外科学の高羽夏樹氏が発表した。
 
 ドセタキセル導入後の30%以上のPSA値低下は、予後と強く相関することが報告されている。またドセタキセル導入時に、実質臓器の転移、疼痛、貧血、骨シンチ上の進行の4つを危険因子とし、その数で3群に分類した場合、予後と相関することも示されており、高羽氏らの検討でも有意な相関が認められたという。

 今回、高羽氏らは、去勢抵抗性前立腺癌に対するドセタキセル化学療法の治療効果予測因子について、前述の危険因子に加え、ドセタキセル治療開始前の因子から、特に内分泌療法の有効性に関する因子を検討した。

 対象は、ドセタキセル療法を施行した去勢抵抗性前立腺癌患者48人。初診時の臨床病期はBが3人、Cが7人、D1が2人、D2が36人だった。Gleason scoreは5〜7が7人、8〜10が38人、不明が3人だった。初診時の年齢中央値は66.5歳、ドセタキセル導入時の年齢中央値は72歳だった。初診時のPSA値の中央値は210.0ng/mL、ドセタキセル導入時のPSA値の中央値は50.2ng/mLだった。

 一次内分泌療法が行われた48人中、39人に交替療法、二次内分泌療法が行われ、そして抵抗性となった場合にドセタキセルが導入された。交替療法や二次内分泌療法を行わずにドセタキセルが導入された患者もいた。

 ドセタキセル70mg/m2は3週間間隔で点滴投与し、デキサメタゾンまたはエストラムスチンを併用した。デキサメタゾンは1回0.5mgを1日1〜2回経口投与し、エストラムスチンは1回280mgを1日2回経口投与した。

 Cox hazard modelによる単変量および多変量解析で治療効果予測因子の同定が行われ、解析因子には、内分泌療法に関わる因子(一次内分泌療法の奏効期間など)、ドセタキセル治療開始前の因子(前立腺全摘除術など)、ドセタキセル治療開始時の因子(PSA値、ヘモグロビビン値:Hb値、骨転移の進行、実質臓器転移の有無、疼痛の有無など)が含まれた。

 生化学的な無増悪生存期間(biochemical PFS:bPFS)と相関する因子の単変量解析では、一次内分泌療法奏効期間(カットオフ値:20カ月未満)、一次内分泌療法+交替療法奏効期間(同:27カ月未満)、ドセタキセル治療開始時のHb値(同:12.5g/dL)が抽出された。

 この3つの因子について多変量解析を行うと、一次内分泌療法奏効期間とドセタキセル治療開始時のHb値が独立した予測因子となった(それぞれp=0.013、p=0.0050)。

 全生存期間(OS)と相関する因子の単変量解析では、一次内分泌療法の奏効期間、一次内分泌療法+交替療法奏効期間、ドセタキセル治療開始時のHb値、ドセタキセル治療開始時の骨転移が抽出された。

 これらの因子について多変量解析を行うと、ドセタキセル治療開始時のHb値のみが独立した予測因子となった(p=0.010)。
 
 一次内分泌療法の奏効期間、ドセタキセル治療開始時のHb値それぞれについて行われた、bFSとOSのKaplan-Meier解析でも、一致する結果が示された。
 
 bPFSでは、一次内分泌療法の奏効期間が20カ月以上、ドセタキセル治療開始時のHb値が12.5g/dL以上のどちらの場合も有意に延長した(いずれもp<0.05)が、OSでは、ドセタキセル治療開始時のHb値が12.5g/dL以上の場合のみに有意に延長した(p<0.05)。