進行非小細胞肺癌に対し、カルボプラチン、パクリタキセル、血管新生阻害剤TSU-68の併用は忍容性があり、抗腫瘍効果が見られることが、フェーズ1試験で明らかになった。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、大阪市立総合医療センター臨床腫瘍科の駄賀晴子氏らが発表した。

 TSU-68(orantinib)は、VEGFR-2、PDGFR、FGFRのキナーゼを阻害して、血管新生を抑制する経口薬。肝細胞癌ではフェーズ3試験、大腸癌や乳癌、胃癌ではフェーズ2試験が進行している。

 今回のフェーズ1試験は、ステージ3B/4もしくは再発非小細胞肺癌で、化学療法による治療歴がない患者を対象に、カルボプラチンとパクリタキセルを併用した場合のTSU-68の推奨用量を決定すること、また併用時のTSU-68の薬物動態を評価することを目的とした(ステップ1)。続いて、推奨用量での忍容性を評価し、安全性および有効性も検討した(ステップ2)。

 投与は21日おきに、カルボプラチン(AUC 6)とパクリタキセル(200mg/m2)は第1日に投与し、TSU-68は第1日から第21日に400mg/日もしくは800mg/日を投与した。

 用量制限毒性は、7日以上続くグレード4の好中球減少、グレード4の血小板減少、発熱性好中球減少、グレード3以上の非血液毒性(グレード3の下痢、悪心、嘔吐、低ナトリウム血症、低カリウム血症は除く)とした。

 ステップ1で、400mg/日を投与した3人では用量制限毒性は見られなかった。800mg/日では3人中1人にグレード3の食欲不振が認められたため、さらに3人追加したところ、用量制限毒性は見られなかった。このため推奨用量は800mg/日と決定した。

 薬物動態では、カルボプラチンとパクリタキセルの血中濃度は、TSU-68の投与で影響は受けないことが示された。

 ステップ2では、忍容性を、3サイクルまでの間で、計画投与量の50%以上を投与できた患者が3分の2以上の場合と定めた。その結果、投与した34人中、計画投与量が100%投与できた患者が13人、90%以上100%未満が11人、50%以上90%未満が8人で、忍容性は94.1%の患者で認められた。

 グレード3/4の有害事象は、好中球減少が73.5%、貧血が35.3%、血小板減少が32.4%、白血球減少が17.6%だった。非血液毒性では、神経障害が全グレードで94.1%、食欲不振が79.4%、下痢が64.7%に見られ、グレード3/4の神経障害は8.8%、食欲不振は14.7%、倦怠感、下痢が各5.9%だった。しかし多くの非血液毒性はグレード1/2で、管理可能だった。

 抗腫瘍効果は、部分奏効が13人、病勢安定が13人で、奏効率が39.4%(95%信頼区間:22.9-57.9)、病勢制御率が78.8%(同:61.1-91.0)となった。腫瘍縮小は扁平上皮癌の4人でも認められた。

 無増悪生存期間(PFS)の中央値は5.6カ月(95%信頼区間:3.6-7.2)、全生存期間(OS)中央値は16.6カ月(同:14.3-到達せず)だった。他の臨床試験と比較したところ、「プラチナ系抗癌剤の併用療法ではPFSが4〜5カ月、ベバシズマブの併用療法では6〜7カ月であり、本併用療法はプラチナ系抗癌剤の併用療法よりやや良い結果だった」と駄賀氏。

 これらの結果から、「本併用療法は抗腫瘍効果が期待できる」とした。ただし標準レジメンに比べて、貧血や血小板減少、神経障害、下痢が多く見られたことから、TSU-68と併用するレジメンの再検討、さらに組織学的な効果の違いなども今後は検討していくことになるという。