アルブミン結合パクリタキセルABI-007)は、切除不能再発胃癌の二次治療として有効かつ安全であり、特に重篤な副作用が少ないこと、患者自身の車での通院が可能であることなど、患者の負担が少ない薬剤であることが、国内フェーズ2試験で確認された。10月27日から名古屋市で開催されている第49回日本癌治療学会学術集会で、静岡がんセンター消化器内科の安井博史氏らが発表した。

 切除不能再発胃癌の一次治療にはS-1とシスプラチンの併用が推奨されているが、二次治療以降では標準治療は確立しておらず、現在はタキサン系抗癌剤やイリノテカンなどが使われている。

 ABI-007は、ヒト血清アルブミンにパクリタキセルを結合させてナノ粒子化した製剤。親水性が高く、ポリオキシエチレンヒマシ油とエタノールを使用しないため、過敏症を予防するための抗アレルギー剤などの前投与が不要で、高用量のパクリタキセル投与が可能といわれている。

 フェーズ2試験の対象は、フッ化ピリミジン系抗癌剤を含む初回化学療法に不応、または補助化学療法中もしくは終了後6カ月以内の再発があった患者とした。タキサン系抗癌剤の使用歴がある患者は除外した。ABI-007は、1コースを21日とし、260mg/m2を投与した。主要評価項目は奏効率、副次評価項目は安全性と有効性(病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間)と設定された。

 治療を行った55人のうち、男性は43人、女性12人、年齢中央値は63歳、切除不能胃癌が33人、再発胃癌が22人だった。初回化学療法を受けた患者39人のうち、S-1+シスプラチンが39人中20人、S-1が11人、カペシタビン+シスプラチン+α(トラスツズマブ、ベバシズマブなど)が4人、S-1+オキサリプラチンが2人、その他が2人だった。術後補助化学療法を受けた16人では、S-1治療が14人と大半を占めた。

 評価できた54人において、完全奏効は1人、部分奏効は14人、病勢安定は17人で、奏効率は27.8%(95%信頼区間:16.5-41.6)、病勢制御率は59.3%(同:45-72.4)となった。

 無増悪生存期間は中央値が2.9カ月(95%信頼区間:2.4-3.6)だった。観察期間中央値233.5日において、全生存期間の中央値は9カ月(同:6.6-11.5)であった。

 主な副作用は、グレード3以上の好中球減少が49.1%、白血球減少が20%で、グレード3以上の感覚性神経障害が23.6%に見られたが、治療関連死はなかった。

 ABI-007の特徴について、安井氏は、「ABI-007はエタノールを使用しておらず、また抗アレルギー剤の前投与をしないため、患者自身での車での通院が可能。投与時間は30分と短く、重篤な副作用も少ないため、患者の負担が少ない」と話した。