日本人の初発局所進行頭頸部扁平上皮癌患者において、セツキシマブと放射線療法の併用は、忍容性があり、奏効率は81.8%と抗腫瘍効果も高いことが、フェーズ2試験で明らかになった。10月27日から名古屋市で開催されている第49回日本癌治療学会学術集会で、静岡がんセンター原発不明科の小野澤祐輔氏らが発表した。

 頭頸部扁平上皮癌患者の約90%がEGFR陽性で、EGFR陽性は頭頸部扁平上皮癌の予後不良因子となっている。海外のフェーズ3試験では、局所進行頭頸部扁平上皮癌に対し、抗EGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブと放射線療法を併用することで、局所コントロール率が有意に改善し(Bonner JA et al. N Engl J Med 2006, 354:567-578)、全生存期間も有意に延長した(Bonner JA et al. Lancet Oncol 2010, 11:21-28)。セツキシマブは頭頸部扁平上皮癌の治療薬として、世界86カ国で承認されている。

 そこで、日本人の初発局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象に、セツキシマブと放射線療法との併用の忍容性、安全性、有効性が検討された。

 セツキシマブは放射線療法開始の1週間前から、第1週は400mg/m 2、第2週から第7週には250mg/m 2を週1回投与した。放射線療法は同時追加照射法を用いて、合計で72Gy(42回)を6週間行った。

 主要評価項目は忍容性(治療完遂率)で、セツキシマブが計画総投与量の70%以上投与され、かつ計画されたスケジュールから2週間以内の延長で計画総照射線量が照射された患者の割合と設定した。副次評価項目は安全性、治療終了後8週時点の抗腫瘍効果(奏効率)とした。

 対象は、中咽頭、下咽頭、喉頭に扁平上皮癌があり、EGFR陽性の患者22人。年齢中央値は67歳(53-81歳)、男性が21人、女性が1人。原発巣は下咽頭が8人、喉頭が8人、中咽頭が6人だった。

 セツキシマブの相対的治療強度は90%以上が20人(90.9%)で、80%以上90%未満が2人だった。投与の延期については、延期なし、または3日未満が20人、3日から8日の延期が2人だった。放射線照射は、延期なし、または5日以内の延期で計画総照射線量を照射された患者が22人全員だった。このため治療完遂率は100%となった。

 抗腫瘍効果は、完全奏効が9人、部分奏効が9人で、奏効率は81.8%だった(95%信頼区間:59.7-94.8%)。

 主なグレード3/4の有害事象は、粘膜の炎症が72.7%、皮膚炎が27.3%で、感染、放射線による皮膚損傷、口内炎が各22.7%、食欲減退が18.2%、嚥下障害、リンパ球減少、咽頭の炎症が各13.6%であり、「有害事象のプロファイルは忍容できるものだった」とした。

 これらの結果から、日本人における有効性と安全性は、海外のフェーズ3試験の結果と同等で、「初発局所進行頭頸部扁平上皮癌の日本人患者において、セツキシマブと放射線療法の併用は、十分な忍容性があり、有効な治療法である」とまとめた。またセツキシマブと放射線療法の併用は、「特に、シスプラチンが使えない患者や高齢者に適している」と小野澤氏は話した。なおメルクセローノでは承認申請に向け、試験のデータをまとめている最中であるという。