局所進展型非小細胞肺癌(NSCLC)を対象に岡山肺癌治療研究会(OLCSG)が行った放射線化学療法のフェーズ3試験(OLCSG0007試験)から、治療開始早期の生存データはDP(ドセタキセル+シスプラチン)群がMVP(マイトマイシン+ビンデシン+シスプラチン)群よりも優れる可能性が示されたが、長期予後では2群間に有意差は示されなかった。ただし、65歳未満の若年者では、DP群の方が治癒率を高める可能性が示唆された。10月27日から29日まで名古屋市で開催されている第49回日本癌治療学会学術集会で、独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器科の藤原慶一氏がOLCSGを代表して発表した。

 OLCSG0007試験では、DP群にはドセタキセル40mg/m2とシスプラチン40mg/2がそれぞれ1、8、29、36日目に投与され、MVP群にはマイトマイシン8mg/m2が1、29日目に、ビンデシン3mg/m2が1、8、29、36日目に、シスプラチン80mg/m2が1、29日目に投与された。胸部放射線療法は、MVP群ではオリジナルの古瀬レジメンを変更し、2Gy/日×30回、計60Gyを1日目から連日施行し、DP群も同様とした。

 同試験の成績は2008年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で報告され、主要評価項目の2年生存率はDP群で良好だったが、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)に有意差はみられなかった。

 今回、藤原氏らは同試験の長期生存のデータをアップデートし、サブ解析として、年齢によりDP群がMVP群を凌駕する可能性について検討した。

 2000年7月〜2005年7月までに、局所進展型NSCLC(IIIA期またはIIIB期)で治療歴がない患者200人が登録された。DP群に99人、MVP群に101人が無作為に割付けられ、層別化はステージIIIA/IIIB、PS0対1、施設別で行われた。
 
 DP群とMVP群に背景因子の差はみられなかった。男性の割合は92.9%と87.1%、PS0と1の割合は、DP群では46.5%と53.5%、MVP群では49.5%と50.5%だった。ステージIIIAとIIIBの割合は、DP群では33.3%と66.7%、MVP群では32.7%と67.3%だった。体重減少が5%未満と5%以上の患者の割合は、DP群では88.9%と11.1%、MVP群では88.1%と11.9%だった。また、65歳以上と65歳未満で分類した場合の患者の割合、男女比、PS、ステージ、体重減少についても、2群間で差はみられなかった。
 
 治療開始早期に重点を置いたログランンク検定では、OS、PFSともにDP群で有意に良好だった(それぞれp=0.042、p=0.032)。しかし、層別ログランク検定では、DP群のOSは2.2年、PFSは2.1年となり、MVP群の1.9年と1.6年と比較して、優れる結果ではあったが、有意差はみられなかった。

 5年無増悪生存率は、DP群18.0%(95%CI:11.1〜26.3)、MVP群16.8%(95%CI:10.3〜24.7)、5年全生存率はDP群24.7%(95%CI:16.5%〜33.6%)、MVP群22.2%(95%CI:14.7〜30.8%)となり、2群間に差はみられなかった。
 
 グレード3以上の有害事象では、MVP群では骨髄抑制が強く、DP群では骨髄抑制は比較的軽度であったが、食道炎、肺臓炎などが強いと考えられる結果となった。治療関連死亡は、DP群は3人で、このうち2人は放射線肺炎、1人は敗血症だった。MVP群は1人で、肺炎と気胸だった。
 
 治療後の初回の再発では、局所再発は2群間で同等だったが、遠隔転移はDP群37人、MVP群52人に発生した。

 再発後の治療では、DP群と比べてMVP群でドセタキセルやペメトレキセドが多く使用されており、OSで有意差が得られなかった理由の一つと考えられた。

 65歳以上と65歳未満の生存期間中央値は、DP群では2.1年と2.7年、MVP群では1.5年と2.5年だった。65歳未満では、DP群で31%、MVP群で17%が5年以上の長期生存だった。
 
 他施設の放射線化学療法の無作為化試験との比較でも、PLSCG007試験の成績は良好であった。藤原氏は「DP療法はMVP療法に劣らないことが示されたと考えられる」と話した。