切除不能結腸・直腸癌に対する一次、二次化学療法として、mFOLFIRI+ベバシズマブIRIS(S-1、イリノテカン)+ベバシズマブはともに安全かつ有効で、IRIS+ベバシズマブの方がやや無増悪生存期間(PFS)は良い傾向のあることが、東北臨床腫瘍研究会による安全性確認試験で明らかになった。10月27日から名古屋市で開催されている第49回日本癌治療学会学術集会で、同グループを代表して、秋田大学医学系研究科の安藤秀明氏が発表した。

 FOLFIRI+ベバシズマブは切除不能再発大腸癌に対する標準的な一次化学療法の1つとして使用されている。一方、S-1とイリノテカンによるIRISは、FOLFIRIに匹敵する有効性が報告されている。そこで、切除不能結腸・直腸癌患者を対象に、FOLFIRIおよびIRISにベバシズマブを併用した場合の安全性が検討された。

 主要評価項目は安全性、副次評価項目は奏効率、PFSと設定された。対象は切除不能結腸・直腸癌で、一次もしくは二次化学療法の治療を受ける患者。二次化学療法例はFOLFOXによる1レジメンの治療を受けている患者とした。60人が登録され、mFOLFIRI+ベバシズマブ群とIRIS+ベバシズマブ群に30人ずつ割り付けた。

 mFOLFIRI+ベバシズマブ群は、2週間を1コースとして、ベバシズマブは5mg/kg、イリノテカンは150mg/m2、l-LVは200mg/m2、5-FU急速静注を400mg/m2、5-FU46時間持続静注を2400mg/m2投与した。IRIS+ベバシズマブ群は、3週間を1コースとして、ベバシズマブは7.5mg/kg、イリノテカンは150mg/m2、S-1は第3日から第16日に80mg/m2/日を投与した。

 この結果、グレード3以上の骨髄抑制の発現率は両群でほぼ同程度で、白血球減少がmFOLFIRI+ベバシズマブ群は14.3%、IRIS+ベバシズマブ群は17.2%、好中球減少がそれぞれ46.4%、37.9%だった。ただしグレード2以上の好中球減少を比較すると、mFOLFIRI+ベバシズマブ群が88.9%、IRIS+ベバシズマブ群が56.6%だった。

 グレード3以上の消化管毒性は、mFOLFIRI+ベバシズマブ群で多く、食欲不振がmFOLFIRI+ベバシズマブ群で17.9%、IRIS+ベバシズマブ群で3.5%、下痢がそれぞれ14.3%、6.9%だった。またベバシズマブ関連の有害事象では、mFOLFIRI+ベバシズマブ群で消化管穿孔がグレード3は1人、グレード5が1人、グレード3の高血圧が1人に認められた。

 奏効率はmFOLFIRI+ベバシズマブ群が61.5%(95%信頼区間:40.1-79.8%)、IRIS+ベバシズマブ群が72%(同:50.6-86.2%)。完全奏効がmFOLFIRI+ベバシズマブ群は0人、IRIS+ベバシズマブ群が2人で見られた。またPFS中央値はmFOLFIRI+ベバシズマブ群は324日(同:247-475日)、IRIS+ベバシズマブ群は345日(同:312-594日)とほぼ同じだった(p=0.71)。

 この結果から、安藤氏は「切除不能大腸癌に対し、mFOLFIRI+ベバシズマブとIRIS+ベバシズマブはともに安全性、有効性の点で、有効な治療法の一つと考えられる」と述べた。