国立がん研究センター中央病院消化管腫瘍科外来医長の山田康秀氏

 治療の個別化が期待されてから久しいが、これまでにも臨床的な病態によって、個々の症例に合った治療選択はなされてきた。しかし近年は、臨床的な病態に加え、分子マーカーやゲノム情報を用いて、より科学的な個別化が求められている。胃癌ではToGA試験の成功によって、バイオマーカーとしてHER2の有用性が証明された。大腸癌ではKRAS変異の有無によって抗EGFR抗体の効果が異なること、BRAF変異が予後不良因子として有用であることが分かり、胃癌と大腸癌において、個別化医療は現実のものになってきた。

 「HER2による胃癌治療の個別化がまもなく始まる。その一方で、組織型による治療戦略も考えるべき」。国立がん研究センター中央病院消化管腫瘍科外来医長の山田康秀氏は、第48回日本癌治療学会学術集会の学術セミナー「胃癌・大腸癌における治療個別化の現状と展望」(共催、大鵬薬品工業)でこう話した。セミナーでは、個別化に重要なマーカーをキーワードに胃癌と大腸癌の治療戦略を解説し、大腸癌セカンドライン治療については、抗EGFR抗体薬の積極的な使用への疑問とS-1治療の活用を提言した。

胃癌の組織型による予後の違い 
 胃癌の予後は組織型によって異なることが知られている。日本でのフェーズ3比較試験であるJCOG 9912試験において、diffuse type(未分化型)とintestinal type(分化型)を比べると、diffuse typeの方が予後は悪い傾向にある。またdiffuse typeではS-1単剤に対するIP(シスプラチン、イリノテカン併用)療法の全生存期間に対するハザード比は0.89だが、intestinal typeのそれは1.15であり、「intestinal typeでは最初に強力な併用療法を行ってもS-1単剤療法には勝てないことを示している」と山田氏はいう。

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