5-FUによる肝還流化学療法(LPC)は膵癌切除後の肝転移を抑制し、さらにゲムシタビンによる術後補助療法は再発抑制に有用であることが明らかになった。新潟大学消化器・一般外科の黒崎功氏らが、10月28日から30日まで京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で報告した。

 対象は、2001年から2008年にR0/R1手術が行われ、術後にゲムシタビンが投与された60人。平均年齢は64歳。このうち術後補助療法として、20人には5-FUによるLPCが施行された。ゲムシタビンの投与期間が1年未満(短期群)は45人、1年以上(長期群)が15人だった。

 LPCを施行した群と施行しなかった群を比較した結果、LPC施行群における癌特異的生存期間(DSS)中央値は59.8カ月、非施行群は20.3カ月と、LPC施行群の方が良好だった(p=0.013)。2年生存率はLPC施行群が85%、非施行群が45%、3年生存率はそれぞれ69.7%、28.3%であった。

 リンパ節転移度別にみると、N0/1のサブグループではLPC施行群で有意(p=0.011)に予後良好だったが、N2以上では有意差はなかった。このため、「LPCは、N1以下のリンパ節転移度例では、治療成績の改善に寄与している」とした。また累積肝再発率はLPC施行群の方が低い傾向があった(p=0.059)。

 ゲムシタビン投与期間で2群に分けた結果では、手術からの生存期間は長期群で有意に良好だった(p=0.011)。同様に、手術からの無再発生存期間も長期群で良く、中央値は長期群が36.7カ月、短期群が12.9カ月だった(p=0.013)。

 次に、術後補助療法終了後からの無再発生存期間を比べたところ、2群間に有意な差がなかった。このことから、「1年以上投与した群が、偶然に予後の良い症例だったのではなく、術後補助療法によって、無再発期間が延長されていた可能性がある」と黒崎氏は述べた。