外来化学療法において、副作用が原因で緊急入院となった事象(SAE;Serious Adverse Event)の発生率は1.1%で、安全に施行できる可能性が、6000件を超える外来化学療法施行例を対象とした調査から示された。10月28日から30日にかけて京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で、近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門の藤阪保仁氏が発表した。

 近畿大学の通院治療センターで行われる抗癌剤治療の件数は、4年間で2倍以上に増加し、現在では月に約1100件に上る。同腫瘍内科には、消化器癌、肺癌、乳癌をはじめとして多様な癌の患者が受診し、2009年の新規症例は683例、抗癌剤治療の件数は約500件であった。

 藤阪氏らは、外来化学療法の実態調査と安全性の検討を行うため、化学療法の副作用が原因で緊急入院となった事象を「Serious Adverse Event(SAE)」として調査した。

 2009年6月から2010年6月に同腫瘍内科の通院治療センターで化学療法を行った6395件の患者データを解析し、DPC上での緊急入院となった患者について、外来化学療法との因果関係を判定した。SAE率は「SAE件数÷通院治療センターでの化学療法総件数」として算出した。

 その結果、SAEは70件(74事象)に発生し、SAE率は1.1%となった。SAE事象は、発熱性好中球減少症(20件)、薬剤性肺障害(10件)、食欲不振(7件)、脱水(5件)、肺炎と下痢(各4件)などの順に多かった。

 SAE発生率が1.1%であったことは、従来は入院で抗癌剤治療を行っていたことを考慮すると、外来でも十分安全に施行可能であると考えられた。リスク管理として、制吐剤や顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などの適正使用をはじめとする支持療法の整備や、患者教育の徹底が行われていた。

 予定していた外来化学療法に対するキャンセル発生率は10.8%であった。キャンセル理由で多かったのは、白血球減少や血小板減少などの副作用、病勢進行による体調不良だった。

 藤阪氏は、外来での抗癌剤治療の安全性について検討されたデータが乏しい状況において、「患者に説明する際の資料の1つとなりうる。また有害事象の頻度や程度を知ることで、より安全な治療計画を立案できる」と話した。