切除不能・再発胆道癌に対するゲムシタビン(GEM)およびS-1のシークエンシャル投与は、一般臨床においても忍容性があり、有効な治療と考えられる結果が示された。10月28日から30日まで京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で、神奈川県立がんセンター消化器内科小林智氏が発表した。

 切除不能・再発胆道癌に対し、S-1が2007年8月に保険承認され、GEMとともに国内で広く使用されている。しかし、「胆道がん診療ガイドライン」における推奨度は「C1」にとどまる。

 小林氏らは、S-1保険承認後の切除不能・胆道癌に対するGEMとS-1の同センターでの治療成績を評価し、胆道癌化学療法の一般臨床について検討した。

 対象は、2007年8月から2010年3月の間にファーストライン治療としてGEMまたはS-1の単剤療法を受けた、切除不能・再発胆道癌の患者75人(うち男性47人、平均年齢65.7歳)。疾患の内訳は、肝内胆管癌21人、肝外胆管癌18人、胆嚢癌33人、乳頭部癌3人だった。国際対癌連合(UICC)の分類では、ステージIVが全体の72%を占めた。

 原則的にファーストライン治療ではGEMを使用し、患者の希望や臨床試験などの理由によりS-1を使用した。セカンドライン治療は、ファーストライン治療でGEMを使用した患者ではS-1、S-1を使用した患者ではGEMを選択した。全患者の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、抗腫瘍効果、有害事象をレトロスペクティブに解析した。

 その結果、生存期間中央値(MST)は8.6カ月、PFSは3.1カ月だった。この値は、過去にGEMまたはS-1について行われた国内のフェーズ2試験の結果とほぼ同様であった。

 抗腫瘍効果については、完全奏効1人(1.3%)、部分奏効3人(4.0%)で、奏効率は5.3%にとどまった。しかし、安定(SD)は45人(60.0%)で、病勢コントロール率(DCR)は65.3%となり、先のフェーズ2試験と同様の結果が得られた。

 血液毒性の発現は、全グレードでは93.3%となったが、グレード3以上は26.7%だった。また非血液毒性の発現は、全グレードでは66.7%となったが、グレード3以上は9.3%だった。

 単変量解析を行うと、ステージIV、腹水、治療前のCEAが5以上、治療前のCA19-9が180以上などが予後不良因子として抽出された。さらに多変量解析を行うと、胆嚢癌、腹水が予後不良因子として抽出された。

 原発部位別の解析では、各疾患に有意差はなかった。胆嚢癌と胆嚢癌以外の癌との間にも有意差はなかったが、胆嚢癌で予後不良の傾向がみられた。ファーストライン治療では、胆嚢癌ではGEMとS-1は同程度に有効性であったが(HR=0.90)、胆嚢癌以外の癌ではS-1よりもGEMが有効な可能性がみられた(HR=0.44)。

 セカンドライン治療に移行したのは、ファーストライン治療がGEMの群で75.0%、S-1の群で66.7%と、比較的高い割合だった。DCRは両群とも約40%となった。

 セカンドライン治療におけるグレード3以上の血液毒性の発現は、ファーストライン治療がGEMの群で1.8%、S-1の群で30%だった。またグレード3以上の非血液毒性の発現は、7.1%と10%であった。

 セカンドライン治療への移行率の高さから、有効なセカンドライン治療の存在意識は高いと考えられた。近年では、GEMよりもGEM+シスプラチン(CDDP)の併用療法が有効であることが示されている。小林氏は「今後は、GEMとS-1、CDDPの3剤をどのような戦略で使用していくかが課題」と話した。