切除不能の膵癌であっても、化学療法によって病勢安定以上の奏効が認められた症例では、切除可能であり、生存期間も延長する可能性のあることが示された。北海道大学腫瘍外科加藤健太郎氏らが、10月28日から30日まで京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で報告した。

 対象は、切除不能と診断された後に化学療法を施行し、その後、切除可能と判断されて根治切除が行われた膵管癌患者11人。男性6人、女性5人で、年齢中央値は64歳。腫瘍占拠部位は膵頭部が3人、膵体部が5人、膵尾部が3人だった。切除不能の理由は、肝転移が3人、高度動脈・神経叢浸潤が6人、大動脈周囲リンパ節転移が2人だった。

 術前の化学療法は他院で行われたが、ゲムシタビン単剤が2人、ゲムシタビンとS-1併用が6人、ゲムシタビンと5-FU併用が3人で、動注もしくは静注投与された。またゲムシタビン単剤とゲムシタビンとS-1併用の各1人には放射線療法が併用された。化学療法の結果、部分奏効(PR)は8人、病勢安定(SD)が3人であった。

 手術は腹腔動脈合併切除を伴う尾側膵切除術が5人、膵頭十二指腸切除術が3人、尾側膵切除術が3人であった。手術関連死亡はなく、化学療法の影響と判断される術後合併症もなかった。

 病理組織学的には、術前化学療法による効果は、Evans分類でgrade 1が6人、grade 2a、2b、3が各1人、grade 4が2人だった。癌遺残度はR0が8人、R1が2人、R2が1人であった。癌遺残もしくは肝転移があった5人では再発が見られたが、術後半年以内の再発死亡はなかった。

 初回治療からの5年生存率は48%、手術からの3年生存率は70%となった。ただし切除不能と当初診断された理由が遠隔転移だった例では、局所進展が理由だった例に比べて、予後不良で、「手術の適応は慎重に判断すべきで、より長期の化学療法と経過観察が必要」と加藤氏は話した。

 これらの結果から、「切除不能の膵癌症例では化学療法を施行して、SD以上の効果があれば切除を考慮してもよいが、今後さらに症例を蓄積してさらなる検討をする必要がある」とした。