日本における大腸癌のKRAS遺伝子変異率は37.6%で、海外の報告と同等であることが、「大腸がんKRAS観察研究会」による5000人を超える大規模研究で明らかになった。国立がん研究センター東病院消化管内科の吉野孝之氏が、10月28日から30日まで京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で発表した。

 大腸がんKRAS観察研究会では、組織学的に腺癌と確認された大腸癌の検体を、中央登録方式で収集した。大腸癌KRAS遺伝子検査が保険適用になる前の、2009年10月から2010年3月までに、全国389施設から5887検体が登録された。

 回収できた5790検体のうち、KRAS遺伝子の測定が可能だった5732検体を解析した。なおダイレクトシークエンス法による測定が5423検体、ルミネックス法が309検体だった。

 対象患者の内訳は、男性が3475人、女性が2257人で、採取時の年齢中央値は65歳、50歳未満が560人、50-59歳が1258人、60-69歳が2081人、70歳以上が1833人だった。

 手術検体が5364件、生検検体は368件で、採取部位は原発巣が5258、転移巣474だった。原発部位のうち右側結腸が30.3%、左側結腸が29.7%、直腸が39.7%、不明が0.3%であった。臨床病期はI期が2.9%、II期が14.2%、III期が30.8%、IV期が48.9%で、異時性再発が2.7%、不明が0.5%。採取時期は2005 年以降が91.5%を占めた。

 測定の結果、KRAS遺伝子変異率は37.6%(2155検体)で、このうちコドン12領域の変異は79.5%(1714検体)、コドン13領域の変異は20.5%(441検体)だった。

 患者背景のなかで統計的に有意差が見られたのは、性別、年齢、採取時期、原発部位だった。性別では男性のKRAS遺伝子変異率は35.5%、女性は40.9%と、女性の方が比率は高かった。年齢では50歳未満が30.5%、50-59歳が36.6%、60-69歳が38.1%、70歳以上が39.9%と、年齢が上がるにつれて高くなる傾向が見られた。

 手術検体のうち採取時期が2007年以降では変異率は38.6%、2006年が36.6%、2005年以前は33.6%。原発部位では、右側結腸で48.4%、左側結腸で28.4%、直腸で36.2%だった。なお原発巣と転移巣はともに37.6%だった。