骨転移を有する乳癌患者の疼痛とQOLに対し、抗RANKL抗体のdenosumabはビスホスフォネート製剤ゾレドロン酸と同等以上の効果があることが、フェーズ3試験のデータを用いた解析で明らかになった。大阪医療センターの増田慎三氏らが、10月28日から30日まで京都市で開催された第48回日本癌治療学会学術集会(JSCO2010)で報告した。

 Denosumabは、RANKL(NFκB活性化受容体リガンド)に特異的に結合して、骨吸収を抑制し、腫瘍による骨破壊を減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体製剤。RANKLは破骨細胞の分化や活性、生存に重要な蛋白質。

 骨転移を有する乳癌患者2049人を対象に、denosumabとゾレドロン酸を比較した国際的フェーズ3試験で、乳癌骨転移に対して有効性が報告されているゾレドロン酸に比べて、denosumabは骨転移の合併症である骨関連事象(SRE)の発生を抑制することが報告されている。この試験で日本からは138人が登録した。

 疼痛の評価には簡易疼痛質問票(BPI-SF)が用いられ、痛みの点数(Worst-painスコア)は0点を「痛みなし」、1〜4点を「軽度の痛み」、5〜6点を「中等度の痛み」、7〜10点を「重度の痛み」とした。

 その結果、試験開始前の痛みの点数が、2点以上増加するまでの期間の中央値は、denosumabで8.5カ月、ゾレドロン酸は7.4カ月で、有意な差はなかった(ハザード比0.90、p=0.082)。

 しかし中等度以上(5〜10点)に増悪するまでの期間の中央値は、denosumab群で9.7カ月、ゾレドロン酸群は5.8カ月で(ハザード比0.78、p=0.0024)、denosumabは痛みが増悪するまでの期間を有意に延長させた。

 QOLの評価にはFACT-G質問票が用いられた。FACT-G合計点数は両群とも経過とともに低下する傾向があったが、QOLは全体的にゾレドロン酸群に比べてdenosumab群の方が高かった。また開始前から5点以上増加し、臨床的な改善が認められる患者の割合もdenosumab群の方が高かった。

 これらの結果から、増田氏は、「骨転移を有する乳癌患者に対して、denosumabはSRE抑制効果でゾレドロン酸を凌駕する成績が得られ、疼痛やQOLにおいてもゾレドロン酸と同等以上の成績が得られた」と述べた。