セツキシマブの使用成績調査の中間結果から、セツキシマブの副作用は日本人に特異的なものはないことが明らかになった。infusion reaction(IR)や間質性肺炎といった、頻度が低いが生命にかかわる副作用についても、慎重な観察と迅速かつ適切な処置で重症化の防止や救命が可能だ。

 10月22日から24日に横浜市で開催された第47回日本癌治療学会学術集会のシンポジウム「大腸癌化学療法〜世界との乖離は埋められるか?」で、埼玉県立がんセンター消化器内科の山口研成氏が、セツキシマブ適正使用アドバイザリーボードを代表して、セツキシマブ使用成績調査(全例調査)の中間集計のデータから報告した。

 国内で結腸・直腸癌を対象としてセツキシマブが承認されたのは、欧米での承認に4年遅れての2008年7月だった。

 使用成績調査は、製造販売後の国内の臨床下におけるセツキシマブの使用実態の把握と、安全性および有効性を確認するために実施された。この調査では、2008年9月から2009年1月までの4カ月間に登録された1822人について安全性評価が行われた。方法は中央登録方式による事前登録で、観察期間終了後調査票を回収し、投与開始から4週までと全治療期間16週(2009年6月4日まで)の副作用のデータが集計された。全治療期間のデータは現在詳細を解析中のため、今回は投与開始から4週までのデータを中心に報告された。

 1822人のうち男性は1127人、65歳未満は928人だった。癌腫は結腸癌1128人、直腸癌697人、3人は再調査中だった。KRAS遺伝子測定は79.4%が未測定だった。

 治療ラインはサードライン治療1685人(92.8%)、セカンドライン治療132人(7.2%)、5人は再調査中。治療状況はセツキシマブ単独療法が500人、化学療法との併用療法が1322人で、このうちイリノテカン(CPT-11)との併用が最多で1079人だった。

 セツキシマブの投与回数の中央値は6回(範囲1〜24回)、投与期間は43日だった。

 主治医の判断で有効と判断されたのは全体の25.6%、イリノテカンベースの併用療法では約60%に上った。

 副作用は1290人(70.8%)に発現した。重点調査項目における副作用の発現は、皮膚症状64.65%、消化管障害6.37%、IR4.99%、血中マグネシウム低下2.41%、間質性肺炎0.22%だった。海外で行われたMABEL試験と比較しても、日本人に特異的な副作用はみられなかった。

 重点調査項目の一つ、IRの発現頻度は、海外では全グレードで12〜19%、そのうちグレード3以上は3%と報告されているが、今回の調査ではそれぞれ約5%と0.93%だった。IRは1回目の投与でIR全体の約8割が発現し、2回目以降の投与では発現は少ないため、初回投与時は特に慎重な観察が必要だ。グレード4ではすべての副作用、すなわち生命に関わるアナフィラキシーや血圧低下、呼吸停止などが15分以内に、グレード3でも重篤な副作用はほぼ60分以内に発現すると考えられる。そのため「患者さんの観察を投与開始後60分間重点的に行うことで、重篤な副作用をほぼ拾い出せるのではないかと思われる」と山口氏は述べた。また再投与時に再度IRが発現する可能性は、約13%とみられている。

 間質性肺疾患も重点調査項目の一つで、頻度は低いがどの時期にも発現しうる。診断から3日以内にステロイドパルス療法が行われた症例では軽快・回復した例もあったが、4日以降となった症例は全例死亡した。山口氏は「少しでも間質性肺炎が疑われた場合、早期の診断とステロイドパルス療法を」と強調している。

 皮膚症状については現在解析中だが、欧米の報告に比べ早く発現する可能性が示された。

 「実臨床における世界との乖離を埋めていくためには、有害事象に対しての今後のスキルアップが重要になる」と山口氏は話した。