S-1とベバシズマブの併用療法は有効性と安全性が高く、高齢者の進行・再発大腸癌の治療選択肢の一つとなる可能性がフェーズ2試験の中間成績から示された。10月22日から24日に横浜市で開催された第47回日本癌治療学会学術集会で、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部の高張大亮氏が発表した。

 高齢者の進行・再発大腸癌に対する化学療法では、身体的な状況などからオキサリプラチンやイリノテカンをファーストライン治療に選択しない場合もある。欧米ではこのような患者に5-FU+ロイコボリン+ベバシズマブ併用療法を行い、ベバシズマブの高い上乗せ効果が示されている。

 経口5-FU系抗癌剤S-1とベバシズマブの大腸癌に対する有効性と、ベバシズマブは点滴静注に必要な時間が最長でも90分と短い、ポート留置を必要としないといった簡便性から、これらの併用効果を確認する意義は大きい。

 高張氏らは、高齢者進行・再発大腸癌症例を対象として、S-1とベバシズマブの併用療法の有効性と安全性を検討する多施設共同のフェーズ2試験(BASIC試験)を実施している。目標症例数は55人。今回は2007年10月から2009年9月までの中間成績を発表した。

 この試験の主要評価項目は無再発生存期間(PFS)、副次的評価項目は治療成功期間(TTF)、奏効率、有害事象の発現頻度と程度などとした。

 投与スケジュールはS-1(80〜120mg)を1〜28日に、ベバシズマブは1、14、28日目に点滴静注し、42日間を1コースとした。

 今回対象となったのは28人(うち男性18人、年齢中央値75.5歳)で、PSは0が13人、1が15人だった。原発巣は結腸16人、直腸12人で、手術歴は23人に、術後補助化学療法の治療歴は4人にあった。転移は肝20人、リンパ節12人、肺8人といった順に多かった。クレアチニンクリアランスの中央値は65.6mL/分だった。

 中間成績ではPFSの中央値は276日、TTFの中央値は236日となった。

 奏効率は36%で、完全奏効(CR)1人(4%)、部分奏効(PR)9人(32%)だった。安定状態(SD)は18人(69%)に上り、病勢コントロール率(DCR)は100%となった。

 有害事象をみると、非血液毒性で最も頻度が高かった下痢は、グレード3以上は4%だった。65歳以上の50人の患者を対象としたTS-1治験時のグレード3以上の下痢も4%だった。

 血液毒性では、グレード3以上の好中球減少は7%、血小板減少は4%だった。TS-1治験時のグレード3以上のヘモグロビン減少、白血球減少、血小板減少は、それぞれ12%、12%、4%だった。

 TS-1単剤と比べてベバシズマブの併用による有害事象の発現率の上昇や悪化は認められなかった。

 ベバシズマブに関連する有害事象である高血圧、蛋白尿、鼻出血などの出血については、グレード3以上の発現率は、11%、0%、4%だった。

 相対的薬剤強度(単位期間あたりの総投与量/予定投与量)の平均値は、TS-1が81%、ベバシズマブ80%となった。