大腸癌の標準治療であるFOLFOX療法で高率に発現する末梢神経障害(PN)の評価によく用いられる評価方法のNCI-CTCAEとDEB-NTCは一致率が低く、PNの発現率や改善率の評価に差があることが明らかになった。10月22日から24日に横浜市で開催された第47回日本癌治療学会学術集会で、埼玉医科大学総合医療センター薬剤部の井上尚彦氏が発表した。

 FOLFOX療法を6回以上施行した後、FOLFIRI療法を6回以上施行した大腸癌患者42人(うち男性23人、平均年齢63歳)を対象に、NCI-CTCAEとDEB-NTCを用いてPNの発現と改善の状況を検討した。PNの原因となるオキサリプラチン(L-OHP)の平均投与回数は10.5回、平均累積投与量は889.4mg/m2だった。NCI-CTCAEは主に知覚異常の症状について、DEB-NTCは、症状発現期間について評価する。

 FOLFOX療法施行合計491回における両者のグレード一致率は48.27%、FOLFIRI療法施行合計573回では同46.42%と、一致率は半分以下だった。

 FOLFOX療法施行時におけるグレード2の累積発現率はDEB-NTCで(p<0.01)、グレード3の累積発現率はNCI-CTCAE(p=0.08)で高値を示した。これは、軽・中等度のPN発現はDEB-NTCで、重度のPNはNCI-CTCAEで評価されやすいことを示す。

 一方、FOLFIRI療法施行時の累積改善率をみるとDEB-NTCでほとんど認められず、FOLFOX療法終了時の判定のまま継続していると評価された。NCI-CTCAEでは一様に改善がみられ189.0日でグレード2から1(28人中21人)、196.0日でグレード2から0(29人中7人)となった。

 これらのことから、二つの評価法は、関連性が乏しいことが示唆された。臨床の現場では、医師はDEB-NTC、看護師や薬剤師はNCI-CTCAEを用いるケースが多いという。「患者のPNに対して、統一した評価を行うには、どちらの評価方法を用いているか、スタッフ間の共通認識が必要」と井上氏は述べた。