外来化学療法前の血液検査で確認する好中球数は、経過中に感染症を引き起こすかどうかの予測因子にはならず、患者の全身状態が良好であれば血液検査は省略可能なようだ。10月22日から24日に横浜市で開催された第47回日本癌治療学会学術集会で、浜松オンコロジーセンター(静岡県浜松市)乳腺科の田原梨絵氏が報告した。

 通常、外来化学療法では診察、採血、採血の結果確認、抗癌剤の投与(点滴)というプロセスを踏む。「患者さんは半日がかり。待ち時間が負担になっている」と田原氏。そこで、採血及びその結果待ちの省略による、診療の効率化の可能性について検討した。

 対象は同センターで2005年12月から2009年3月に、乳癌の標準的なレジメンであるエピルビシン90mg/m2+シクロフォスファミド600mg/m2(EC)を術前・術後の化学療法として3週ごとに4回投与した36人。投与日(day1)の好中球数と経過中の感染症の関連を調べた。全身状態に問題がなければ、day1の好中球数に関係なく薬剤は減量・延期することなく規定量を規定間隔で投与できた。38℃以上の発熱などの感染症状は6人(16.7%)に認められた。

 4回ともDay1に採血できた18人についてさらに解析した。年齢は30代から70代、術前11人、術後7人、ステージ1が1人、2が13人、3が4人、リンパ節転移数は0が8人、1〜3が8人、4以上が2人だった。

 この18人の合計72ケース(4×18)について分析すると、day1の好中球数減少がグレード0〜2の60ケース中5ケースに感染症状があり、グレード3か4の12ケースには感染症状が認められなかった。つまり、day1の好中球数減少は、感染症発症の予測因子とはいえないということになる。

 田原氏は「患者さんの全身状態を適切に把握し、適宜採血を行うことで不要な検査を割愛し、患者の待ち時間の短縮、診療の効率化が可能となる」とまとめた。

 同センターでは、2005年の開設から5000件以上の外来化学療法を行ってきたが、施行前の血液検査は、通常は行わないという。同センター癌専門薬剤師の宮本康敬氏がまとめたデータによると、外来化学療法における待ち時間(診察終了から点滴投与開始まで)は、平均19.8分(4〜44分、患者数138人)だった。

 共同演者である同センター院長の渡辺亨氏は、「診察室で快食・快眠・快便であることを確認し、顔色もよく、化学療法に前向きに取り組む気力があれば大丈夫。サイエンティフィックではないが、臨床医の基本的なアプローチで採血に代わる安全チェックは可能」とコメントした。