表在性膀胱癌に対するゲムシタビン膀胱内注入療法は、BCG抵抗性の患者でも抗腫瘍効果を示し、副作用も少ないことが明らかになった。膀胱全摘までの期間を延長させる可能性のある治療法の一つといえる。10月22日から24日に横浜市で開催されている第47回日本癌治療学会学術集会で、防衛医科大学校病院泌尿器科の辻田裕二郎氏が発表した。

 BCG膀胱内注入療法は、表在性膀胱癌に対する経尿道的切除術後の再発予防や、上皮内癌を含む表在性膀胱癌の治療として行われるが、およそ30%の患者はBCG療法に反応しないとされる。そのため、進行した癌や再発が繰り返される場合は膀胱全摘が行われる。

 対象は、2007年7月から2009年10月に表在性膀胱癌に対しBCG膀胱内注入療法を行い、その後再発したBCG抵抗例が9人と、免疫抑制剤の服用などで適応外と判断された7人。16人(うち男性12人)の平均年齢は76.8歳(63〜90歳)だった。

 この16人を経尿道的切除術でコントロールできなかった膀胱癌、または上皮内癌の治療を目的とした治療を行った治療群(11人)と、再発予防を目的とした治療を行った再発予防群(5人)に分けて検討した。

 投与スケジュールはゲムシタビン2000mgを生理食塩水50mlで溶解し、週1回6週間、膀胱内に注入した。3回目の注入後にゲムシタビンの血中濃度を測定した。平均観察期間は17.0カ月(2〜25カ月)だった。

 尿細胞診および膀胱鏡で腫瘍を確認した結果、治療群では11人中5人で尿細胞診が陰性化し、5人の平均無再発期間は5カ月、再発予防群では全例で再発し、平均無再発期間は5.8カ月だった。

 また治療群のうち、BCG抵抗例の6人では、3人で尿細胞診が陰性化し、3人の平均無再発期間は4カ月、BCG療法を行っていない5人では2人で尿細胞診が陰性化し、2人の平均無再発期間は8.5カ月だった。

 副作用としては、グレード2の骨髄抑制が3人、グレード2の膀胱刺激症状が1人だった。さらに血中濃度は平均で0.95μM(0.1〜4.1μM)であった。辻田氏は「通常のゲムシタビン1000mg/m2投与では血中濃度は約100μMだが、膀胱内注入療法では血中濃度は極めて低く、全身毒性も軽微と考えられる」と話した。

 BCG抵抗例でも有効性が示されたことから、「ゲムシタビン膀胱内注入療法は副作用が少なく、BCG抵抗性表在性膀胱癌に対する治療オプションの一つになり得ると考えられた」と述べた。また今回の検討では再発予防に対しては効果が明らかでなかったが、「これは6回の投与による結果であり、継続的な投与を行っている患者さんでは効果が確認されている」と共同研究者の堀口明男氏は話した。