線維芽細胞成長因子(FGF)と血管内皮成長因子(VEGF)のシグナル伝達経路を阻害する新しい薬剤、brivanibのフェーズ1試験で、高い安全性と有効性が示された。10月22日から24日に横浜市で開催されている第47回日本癌治療学会学術集会で、静岡県立静岡がんセンター消化器内科の広中秀一氏が発表した。

 FGFとVEGFのシグナル伝達経路は血管新生、腫瘍増殖、線維化に重要な役割を果たしている。brivanibはFGFとVEGFの両方のシグナル伝達経路を阻害する新しい経口薬だ。

 広中氏らは、標準治療が存在または奏効しない、または適切ではない進行性または転移性の固形癌(腫瘍径2cm以上)の患者を対象に、brivanibを国内で使用する場合の用量制限毒性(DLT)と最大耐用量(MTD)を評価することを目的としてこの試験を実施した。

 brivanibの用量別にレベル1〜3をそれぞれ300、600、800mgとし、レベル1と2に各3人、レベル3に7人を登録した。年齢中央値はそれぞれ57.7歳、56.3歳、60.1歳だった。疾患の内訳は、結腸・直腸癌6人、胃癌2人、頭頸部癌2人、肝細胞癌、食道癌、膵島細胞癌が各1人だった。VEGF阻害剤による治療歴があったのはレベル2、3で各1人だった。

 1日1回、1サイクル目は1日目に投与し、6日間の休薬後、8日目から連日投与し、28日間を1サイクルとした。2サイクル目以降は連日投与した。薬物動態評価は1、8、15、36日目に行い、腫瘍の血流量と血管透過性を検出するダイナミック造影MRI(DCE-MRI)は投与前、9、36日目に行った。

 DLTとしては、レベル3の1人に発熱性好中球減少が発生した。その他に出現したグレード3以上の有害事象は、レベル3の2人に認められた疲労だった。

 グレード3以上の血液学的有害事象は、レベル1で好中球減少が1人、レベル3で好中球減少と白血球減少が各1人に出現した。グレード3以上の臨床検査値の異常は、レベル2でALTとASTの上昇が各1人、尿蛋白が1人、ナトリウム減少が1人に出現し、レベル3で尿蛋白が1人に出現した。以上の結果から、MTDは海外と同じ800mg以上と決定された。

 有効性については安定状態(SD)が13人中8人(62%)にみられ、特に800mgでは7人中6人(86%)と高い割合だった。膵島細胞癌の患者では、800mgの用量で8サイクル以上の投与を継続中である。

 薬物動態評価として、brivanib活性体の全身曝露量は用量依存的に増加していた。

 ダイナミック造影MRI(DCE-MRI)では、治療開始後の腫瘍の血流量と血管透過性の低下が認められ、brivanibの抗腫瘍効果が期待される結果が示された。

 広中氏は「今後はソラフェニブが奏効しなくなった肝細胞癌症例などに対しても検証されると考えられるが、その結果にも期待が持てる」と話した。