日常診療においてS-1単独投与による胃癌の術後補助化学療法を継続させるには、年齢(60歳未満、60歳以上)が大きく影響することが、治療完遂率に関与する因子を検討した研究で明らかになった。10月22日から24日に横浜市で開催されている第47回日本癌治療学会学術集会で、愛知県がんセンター中央病院消化器外科の伊藤誠二氏が発表した。

 対象は2001年10月から2007年12月までに胃癌の術後補助化学療法としてS-1単独投与が行なわれた84人(うち男性が59人)。年齢中央値は58歳(21〜76歳)で、深達度別ではT1が2人、T2が24人、T3が53人、T4が5人、リンパ節転移ではN0が13人、N1が31人、N2が39人、N3が1人。

 病期別ではステージ1Bが2人、ステージ2が23人、ステージ3Aが24人、ステージ3Bが26人、ステージ4が9人、術式では幽門側胃切除が60人、胃全摘が24人、また日常診療でS-1が投与されたのは31人、ACTS-GCなどの 臨床試験に参加したのは53人であった。

 術後1年後の治療完遂率を比較すると、日常診療の患者では77.4%、臨床試験では79.2%だった。日常診療の患者で、年齢、性別、深達度、リンパ節転移、ステージ、術式で比べたところ、60歳未満の治療完遂率は89.5%だが、60歳以上は58.3%と低かった(p=0.078)。

 治療完遂率は男性が76.2%、女性が80.0%。深達度別ではT1/2が62.5%、T3/4が82.6%(p=0.335)、病期別ではステージ2以下が77.8%、ステージ3A以上が77.3%、術式別では幽門側胃切除が81.8%、胃全摘が66.7%(p=0.384)。臨床試験の患者を含めた全患者では治療完遂率に影響を与える因子は認められなかった。

 また日常診療の患者において、投与スケジュールの変更は5人(16.1%)、投与量の変更が9人(29.0%)で行われ、「適切な投与スケジュールの変更や減量により、S-1術後補助化学療法のfeasibilityは良好だった」と伊藤氏は述べた。

 これらの結果から、「日常診療におけるS-1術後補助化学療法は、年齢が高くなると治療完遂率が低下する傾向にあり、この原因として食欲不振の有害事象が関与している可能性がある」とした。また治療継続の工夫として、「最初の投与量を適切に設定すること、投薬の必要性を患者さんに十分説明すること、投薬を嫌がる患者さんには無理強いせず、適宜、休薬すること」と伊藤氏はコメントした。