外来化学療法を受ける手術不適応の肺癌患者を対象に、罹患、治療から生じる身体症状や日常生活への影響に対する思いを分析した結果、4つの特徴があると考えられた。千葉大学医学部附属病院の鈴木のり子氏が、2月16日から金沢市で開催された第27回日本がん看護学会学術集会で報告した。

 鈴木氏は、これら4つの思いの特徴を踏まえた看護支援法を提案し、「肺癌や化学療法による症状を緩和・管理することで支援する」「患者の人生観を尊重し、肺癌罹患後の自己のあり方に向き合えるよう支援する」「肺癌罹患に伴う不確かさと折り合いをつけ、患者が生きる希望を持つことを支援する」「患者の日常生活を支える他者との関係性を維持することを支援する」ことを挙げた。

 今回、鈴木氏らは、外来化学療法を受ける手術不適応の肺癌患者において、罹患、治療から生じる身体症状や日常生活への影響に対する思いを明らかにすることで、看護支援のあり方を検討することを目的に調査を行った。この場合の「思い」は、肺癌の罹患に対する考え、感情、気持ち、価値観、および外来で化学療法を受けることから生じる身体症状や日常生活への影響に対する考え、感情、気持ち、価値観と定義した。

 対象は、非小細胞肺癌の診断を受けかつ病名告知を受けている手術適応のない患者6人(男性4人、女性2人)。初回治療が終了し、2次治療以降の治療もしくは維持療法を行っていて言語的コミュニケーションが可能で、面接可能な心身状態の患者とした。平均年齢は69.5歳、病期はステージIIaが1人、ステージIVが5人。

 面接と参加観察によりデータを収集し、身体症状や日常生活への思いを表す表現を分析した。身体症状や日常生活に対する「思い」を表現する153の表現から、最終的に12の代表的なカテゴリーを抽出。これらのカテゴリーを分析した結果、(1)肺癌や化学療法による症状および日常生活への苦痛や困難への思い、(2)肺癌や化学療法の影響を受けながら自分らしい生活を維持することへの思い、(3)完治できない肺癌でも化学療法を継続し生きることを望む思い、(4)外来化学療法を受けながら生活する上での他者との関係性に対する思い――の4つの特徴があると考えられた。

 これら4つの特徴的な思いのうち、1の「肺癌や化学療法による症状および日常生活への苦痛や困難への思い」には、「肺癌や化学療法の症状による日常生活への支障がつらい」「肺癌の病状や化学療法による先の見えない不確かさが不安である」「化学療法による高価な費用が重荷である」といった思いが含まれた。

 2の「肺癌や化学療法の影響を受けながら自分らしい生活を維持することへの思い」については、「肺癌の罹患以降、気持ちが揺れるが外来化学療法を継続し自分らしい生活を送りたい」「生きていることに喜びを感じられる今の生活は幸せである」「最期まで苦しまず自己の意識を保ったまま死を迎えたい」などがあった。

 3の「完治できない肺癌でも化学療法を継続し生きることを望む思い」に代表される思いには、「完治できない肺癌でも現状を維持し生きたい」「肺癌や化学療法の症状が悪化せず、化学療法が外来で継続できて安心である」「化学療法を外来で継続するため主体的に治療に備えたい」など。

 4の「外来化学療法を受けながら生活する上での他者との関係性に対する思い」には、「外来化学療法を受けながら日常生活を送ることができるのは家族や他者のおかげである」「家族に負担をかけたくない」「肺癌の罹患や生活に対する思いを他者には言い難い」などの思いが含まれた。

 これら4つの思いの特徴を踏まえ鈴木氏は、外来化学療法を受ける肺癌患者の患者支援のあり方について、「肺癌や化学療法による症状を緩和・管理することで支援する」「患者の人生観を尊重し、肺癌罹患後の自己のあり方に向き合えるよう支援する」「肺癌罹患に伴う不確かさと折り合いをつけ、患者が生きる希望を持つことを支援する」「患者の日常生活を支える他者との関係性を維持することを支援する」という4つのポイントを提案した。