1次化学療法を受ける肺癌患者では、自分のニーズに合わせてサポート資源を活用し、自ら長期間の治療を継続できるように心身の状態を維持しようとする行動が確認された。北里大学病院呼吸器センターの光永浩子氏はこの結果を踏まえ、「患者同士で交流する機会を促進する」「治療による消耗を最小限にするために援助する」「サポート資源を紹介、提供する」という3点を念頭に入れて看護するようアドバイスした。2月17日まで金沢市で開催された第27回日本がん看護学会学術集会で発表した。

 光永氏は、入退院を繰り返す肺がん患者が、当初は不安を示していたが、治療過程の中で自信を持って治療に取り組むようになるという変化を目の当たりにするケースを多く経験した。この変化は、患者が必要な資源を活用しながら病気や治療に意味を見いだして、乗り越えていけるように自らの力を高めることを指す「エンパワーメント」であると感じたという。

 そこで、光永氏は、1次化学療法を受ける肺癌患者のエンパワーメントの実際について明らかにするため、調査を行った。

 対象は、同院呼吸器センターで肺癌の1次化学療法を受けており、治療スケジュール中、3回あるいは4回目の投与目的で入院している患者4人。PS 0で、苦痛となる症状や認知機能に問題がなく、参加に同意の得られた患者とした。研究期間は2012年7月から4カ月間。

 カルテや看護記録から患者の属性や病期についての情報を収集したほか、1時間程度の面接を実施し、逐語録を作成。逐語録からエンパワーメントを表す内容を抽出してコード化し、分析した。面接では「1回目の治療はどのような体験であったか」「化学療法を継続するために努力していること、役立っているものはあるか」などの質問をした。

 参加者は、男女2人ずつ。年齢は、39歳〜68歳、発見時のTNM分類はIIIbが1人、IVが3人。3回目の投与目的で入院している患者が2人、4回目は2人だった。

 分析の結果、1次化学療法を受ける患者のエンパワーメントは6つのカテゴリーに分類された。具体的には、「治療継続のために周囲のサポートを活用する」「医療者の専門的援助を活用する」「治療を継続するための準備を整える」「がんの治療に主体的に取り組む姿勢を持つ」「闘病生活を通じて病気と付き合っていくための新たな姿勢を身につける」「自分のニーズにあった効果的な情報収集を行う」だった。

 カテゴリーの1つ「治療継続のために周囲のサポートを活用する」では、友人や家族の存在を治療の支えとしたり、友人や家族のサポートを活用することで病気や治療と向き合ったり、同じ境遇の患者同士で交流することで支え合うなどの行動が含まれた。

 「治療を継続するための準備を整える」については、治療を継続できるように体力維持に努める、無理のない生活スタイルを獲得する、治療を受ける覚悟を決める、自分が経験したことや情報をもとに副作用のコントロールに生かすなどの行動が挙げられた。

 「がんの治療に主体的に取り組む姿勢を持つ」では、がんに効くとされる食事を選んで摂取する、積極的に治療に参加する、治療の効果を認識して治療を継続する糧にするなど。

 「自分のニーズにあった効果的な情報収集を行う」については、身近なメディアを活用して治療に関する情報を収集する、自分にとって不利益な情報を遮断するなどの行動があった。

 これらの結果から光永氏は、「1次化学療法中の肺がん患者で見られたエンパワーメントとは、自分のニーズに合わせてサポート資源を活用し、長期間の治療を継続できるように心身の状態を維持することである」とまとめた。
 
 また、患者同士の交流は、患者が死の恐怖と葛藤する中で今後をイメージし、治療を継続する気持ちを高める上で必要な行動であったと指摘した。

 今回の結果を踏まえ光永氏は、1次化学療法を受ける肺がん患者への看護の際には、「患者同士で交流する機会を促進する」「治療による消耗を最小限にするために援助する」「サポート資源を紹介、提供する」という3点を念頭に入れて看護するようアドバイスした。