神経伝達速度検査が、パクリタキセルによる末梢神経障害を客観的に評価する指標として有用である可能性が報告された。2月17日まで金沢市で開催された第27回日本がん看護学会学術集会で、金沢医療センターの坂倉喜代美氏が発表した。

 抗癌剤のパクリタキセルは、末梢神経障害の発現頻度が高く、一度発現すると長期化し、また不可逆的になりやすいとされる。

 パクリタキセルの末梢神経障害の程度を測定するには、患者の自覚症状をもとにグレードを評価する方法が一般的に用いられている。しかし、客観的に測定する方法は確立されていないのが現状だ。そこで坂倉氏らは、パクリタキセルの末梢神経障害を客観的に測定する方法として、神経伝導速度検査を用いる方法を検討した。

 対象は同院外科に通院し、乳癌術後化学療法でweeklyパクリタキセル療法を12回実施した乳癌患者7人。研究期間は、2011年7月から2012年7月。

 神経伝導速度検査は、1回目投与前と12回目投与終了時に実施した。その際に測定した項目は5つで、正中神経(運動神経)、正中神経(知覚神経)、尺骨神経(知覚神経)、腓腹神経(知覚神経)それぞれの振幅(複合筋活動電位の差)、尺骨神経(知覚神経)の速度。

 Weekly パクリタキセル療法を実施した結果、7人全員に末梢神経障害が出現した。既存の評価指標CTCAE v.4.0で末梢神経障害の程度を評価したところ、グレード1が3人、グレード2が4人だった。

 神経伝導速度検査により正中神経(運動神経)、正中神経(知覚神経)、尺骨神経(知覚神経)、腓腹神経(知覚神経)の振幅、尺骨神経(知覚神経)の速度を測定した結果、5項目全てにおいて、治療後の数値に有意な低下が見られた(p<0.05)。

 症例ごとに、神経伝達速度検査結果の変化を検討したところ、とくに知覚神経(正中神経、尺骨神経、腓腹神経)の振幅については、治療前と比べ、治療後に大きくその値が低下する傾向が確認された。

 これらの結果について坂倉氏は、「パクリタキセル投与による末梢神経障害は、神経内細胞の軸索が障害されることで出現するとされている。神経伝達速度の振幅は軸索の数に比例し、軸索が障害されると神経からの情報が筋に伝達されないため、振幅が低下することになる。今回の研究で、神経伝達速度検査の振幅に有意差が見られたことから、軸索障害を客観的に評価する方法として神経伝達速度検査は有用であると考えられる」とまとめた。今後は、症例数を増やし、さらなる検討を行う方針だ。