日本肺癌学会は肺癌診療ガイドラインの改訂作業を進めている。今回の改訂案では、推薦グレードCがC1とC2に分けられた。切除不能III期非小細胞肺癌(NSCLC)に対する化学放射線療法でも一部、推奨グレードが変更される。また科学的根拠となった臨床試験での投与法が日常臨床の用量用法とは異なること等をガイドラインに盛り込み、使用における注意点をまとめる予定だ。九州がんセンター呼吸器腫瘍科の瀬戸貴司氏らが、4月20日から神戸市で開催された第52回日本呼吸器学会学術講演会のガイドラインセッションで発表した。

 改訂案における大きなポイントは、推奨グレードのCをC1とC2に分けた点だ。Cは「行うよう勧めるだけの根拠が明確でない」であったが、C1は「科学的根拠はないが、行うよう勧める」、C2は「科学的根拠はなく、行わないよう勧められる」と定義された。2段階に分けることにより、臨床的に勧められるかどうかが明確にされた。

 化学療法と放射線療法の同時併用は、放射線単独あるいは化学療法と放射線療法の逐次併用に比べ、生存率が有意に良好であることが報告されている。しかしそのレジメンに関しては、まだ標準治療はなく、2011年版では「CP療法・CD療法・CV療法は行うよう勧められる。(B)」としていた。しかしCV療法(シスプラチン、ビノレルビン)については、根拠となった試験での投与方法が、日本の日常臨床で行われている用量用法と異なることから、改訂案ではCV療法は(C1)としている。

 CP療法(カルボプラチン、パクリタキセル)とCD療法(シスプラチン、ドセタキセル)は引き続き(B)とする。ただしCP療法については、根拠となったWJTOG0105試験での投与法は承認の用量用法とは異なる。CD療法も、根拠となるOLCSG0007試験では承認の用量用法とは異なり、また放射線療法も予防的所属リンパ節照射の一部を除く、通常より狭い照射野を用いている。

 このため改訂案では、化学放射線同時併用療法の各レジメンでの用量や線量が一覧表で記載され、さらに使用における注意点が注釈としてまとめられている。「注釈を読んで、承認の用量用法とは異なることを患者さんによく説明してほしい」と瀬戸氏は述べた。

 地固め療法に関しても、「化学放射線同時併用後に薬剤を変更し地固め化学療法を行うよう勧めるだけの根拠が明確でない(C)」を(C2)に変更する。

 また高齢者に対する化学放射線療法は、2011年版では(C)としていたが、改訂案では(C2)に変更した。ただしJCOGによる試験において、カルボプラチン連日投与と放射線療法の併用で生存期間の延長が報告されていることから、今後グレードが変わる可能性も瀬戸氏は示唆した。