進行・再発非小細胞肺癌(NSCLC)に対しベバシズマブ併用化学療法を行った症例のレトロスペクティブな検討から、過去の報告と比較して腫瘍縮小効果は同様で、無増悪生存期間(PFS)は11.2カ月と良好な結果が示された。4月20日から22日まで神戸市で開催された第52回日本呼吸器学会学術講演会で、慶應義塾大学医学部呼吸器内科の荒井大輔氏が発表した。

 ベバシズマブは、日本では2009年11月に扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発NSCLCに対して承認されたが、セカンドライン治療以降の化学療法における有効性のデータは少なく、実臨床での使用経験は十分とは言えない状況にある。

 荒井氏らは、同院でベバシズマブ併用化学療法を行った進行・再発NSCLC患者における患者背景、治療効果、有害事象について検討した。

 対象は、2010年4月から2012年3月までに進行・再発NSCLCに対してベバシズマブ併用化学療法を行い、抗腫瘍効果が判定できた40人(年齢中央値62歳、男性24人)。腺癌が38人、腺癌と大細胞癌の混在が2人で、病期ではIIIB期が18人、IV期が19人、術後再発が3人だった。EGFR遺伝子変異陽性例16人が含まれた。

 ベバシズマブをファーストライン治療で使用したのは17人、セカンドライン治療以降で使用したのは23人だった。
 
 延べ症例でみると、通常療法は28人、EGFR遺伝子変異陽性例でEGFR-TKIを先行投与後に殺細胞性化学療法に移行する臨床試験に参加したのは4人、前治療でEGFR-TKIを使用したのは6人、化学療法の途中からベバシズマブを追加したのは12人、維持療法への移行は20人、Beyond PDは7人だった。同様に延べ症例でみた併用療法は、シスプラチン+ペメトレキセドが13人、カルボプラチン+ペメトレキセドが10人、カルボプラチン+パクリタキセルが5人などだった。

 投与サイクル数の中央値は9サイクル、平均8.8サイクルだった。完全奏効(CR)は得られなかったが、部分奏効(PR)は13人(32.5%)で奏効率は32.5%だった。安定(SD)の22人を含む病勢コントロール率(DCR)は87.5%だった。

 無増悪生存期間(PFS)は全体では11.2カ月となった。ファーストライン治療では未到達、セカンドライン治療以降では6.5カ月だった。

 治療ラインごとに腫瘍縮小効果をみると、ファーストライン治療の奏効率は52.9%、DCRは100%となり、セカンドライン治療ではそれぞれ17.4%と78.3%だった。

 グレード3以上の有害事象の発現は、好中球減少が14人、白血球減少が6人、貧血が1人、血小板減少が2人、発熱性好中球減少が1人、高血圧が2人、嘔気が1人などだった。化学療法ラインごとの有害事象全体の発現頻度は、ファーストライン治療では47.1%、セカンドライン治療以降では39.1%だった。

 荒井氏は、セカンドライン治療以降の腫瘍縮小効果は、EGFR-TKIを先行投与した臨床試験参加例4人が含まれ、EGFR-TKIにより腫瘍が縮小していたことが影響した可能性があると考察した。

 腫瘍縮小効果は過去の報告と比較して同様であり、PFSは良好だったことから、荒井氏は「ファーストライン治療およびセカンドライン治療以降においても、適切な患者選択により、ベバシズマブ特有の有害事象を抑えながら、腫瘍縮小効果が期待できると考えられた」と話した。