非小細胞肺癌において、血中のエルロチニブ代謝物のうち、グルクロン酸抱合体はエルロチニブの副作用である皮膚障害や肝障害の発現と関連のあることが示された。熊本市民病院呼吸器科の岸裕人氏らの研究グループが、4月20日から神戸市で開催された第52回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。

 血中のエルロチニブ(未変化体)濃度は2%以下と低く、未変化体の血中濃度だけでは、副作用を予測することは難しい。そこで研究グループは、エルロチニブ代謝物を網羅的に測定した。

 対象は非小細胞肺癌患者50人。エルロチニブ150mg/日を投与し、血中エルロチニブとその代謝物を測定した。第8日以降の血中濃度安定期での代謝物の量を解析し、代謝比(未変化体エルロチニブ/代謝物)を評価した。この代謝比が高い場合、酵素活性が低いことを意味する。

 その結果、エルロチニブ代謝物として13種類が同定された。このうち酸化体(8種類)と硫酸体(1種類)では毒性との関連性が見られなかった。しかしグルクロン酸抱合体(4種類)では、高比率とグレード3の皮膚障害および肝障害との関連性が認められた(オッズ比22.1、p=0.0037)。

 またROC曲線を用いた解析で、グレード3以上の毒性に対し、グルクロン酸の代謝比は感度、特異度が高いことも確認された(AUC=0.838)。

 これらの結果から、「未変化体エルロチニブの血中濃度では、グレード2と3の毒性を区別できないが、グルクロン酸抱合体の代謝比によりグレード3以上の毒性発現を予測できる」とした。なお研究グループでは、グルクロン酸抱合体に関与するゲノタイプを探索中であるという。