在宅酸素療法HOT)の対象疾患の割合は、慢性閉塞性肺疾患はやや減少し、肺癌は不変だった一方、肺線維症間質性肺炎などは増加傾向にあることが分かった。日本呼吸器学会日本呼吸器疾患患者団体連合会による、第2回全国調査で明らかになった。同時に、呼吸リハビリテーションプログラムの実施率向上や医療費の負担軽減などといった課題も浮き彫りになった。4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で、東北大学環境・安全推進センター、東北大学大学院医学系研究科産業医学分野の黒澤一氏が発表した。

 HOTは在宅人工呼吸とともに在宅呼吸ケアの柱であり、利用者は全国で15万人に迫る勢いにある。その実態を把握する目的で、日本呼吸器学会と日本呼吸器疾患患者団体連合会は全国調査を実施。2005年には、第1回の調査結果をまとめた「在宅呼吸ケア白書」を発行している。

 2回目となる今回は、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科の三嶋理晃氏がワーキンググループ長、順天堂大学医療看護学部専門基礎内科学の植木純氏が副ワーキンググループ長・事務局となり、2009年9月から2010年1月までの間、全国調査を行った。大きな特徴は、医療者と患者の両面からの調査を行った点だ。現在、調査結果の集計中で、黒澤氏は医療者調査の速報を紹介した。

 有効回答数は917施設。このうちHOTを行っている施設は73%で、5年前の69%を上回っていた。施設ごとにみると、日本呼吸器学会の認定・関連施設ではほぼ100%が実施していた。一方、一般病院では減少傾向が、日本臨床内科医会関連施設では増加傾向がみられた。

 HOTの疾患別患者数の割合をみると、慢性閉塞性肺疾患が最も多く40%を超えたが、5年前の48%よりは減少していた。肺結核後遺症も減少した。肺癌の割合は変わらず、肺線維症や間質性肺炎は増加傾向にあった。

 適応を検討する上での主訴については、前回調査と同様の結果で、安静時呼吸困難と運動時呼吸困難が最も多く、高度のADL低下が続いた。

 HOTを受ける患者に対する呼吸リハビリテーションプログラムの実施は、増加傾向を示した。特に認定・関連施設では、実施率が49%から61%に上昇した。この点について黒澤氏は、「患者にとっては全員がリハビリにアクセスできないことは大きなマイナス。この点はさらに改善していかなくてはならない」と指摘した。

 調査結果からは、その他の課題も示された。その1つは医療費の負担で、医療費自己負担を理由にHOTの導入または継続を拒否した患者がいたと答えた施設は、全体の約4分の1に上った。また、在宅酸素療法を円滑に行うための医療圏における診療体制の整備については、「ほぼ整備されている」という回答はほぼ半数に過ぎず、「あまり整備されていない」と「ほとんど整備されていない」を合わせた「整備されていない」の回答も半数近くに上った。

 機器への評価・要望としては、設置型濃縮器では小型化の希望が最も多く、携帯性や電気消費量についても改良すべきとする声が多かった。また液化酸素では、小型化と操作性への希望が最も多く、安全性がこれに次いだ。

 調査結果は6月末までに、「在宅呼吸ケア白書2010」として出版される予定である。