肺癌患者のEGFR遺伝子変異は、エクソン19の欠失変異とエクソン21のL858R点突然変異が全体の9割を占めるが、それ以外の稀なEGFR遺伝子変異を有する肺癌では、臨床的な特徴が異なり、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤ゲフィチニブの効果も違うことが報告された。国立がんセンター東病院呼吸器科の山根由紀氏らが、4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。

 山根氏らは、2005年11月から2010年1月にEGFR遺伝子変異を調べた肺癌737人において、稀な遺伝子変異(minor mutation)を有する33人(全体の14%)を含め、その臨床的特徴をレトロスペクティブに調べた。EGFR遺伝子変異の解析にはダイレクトシークエンス法とPCR-インベーダー法が用いられた。

 その結果、minor mutationでは、エクソン18のG719X点突然変異(4.5%)、G719X以外の点突然変異(2.5%)、エクソン19の点突然変異(3.3%)、エクソン20の点突然変異(1.6%)、エクソン21のL858R以外の点突然変異(2.9%)などが認められた。一方、頻度の高い変異(major mutation)では、エクソン19の欠失変異とエクソン21のL858R点突然変異の比率はどちらも45.7%だった。

 臨床的特徴を比較すると、major mutation では、性別では女性が60%を占め、組織型では96%が腺癌、喫煙歴では非喫煙者が58%を占めた。それに対し、minor mutationでは、女性は32%と少なく、腺癌が68%、非喫煙者が23%であり、「男性」「喫煙者」「非腺癌」の比率が有意に高かった。

 ゲフィチニブの効果は、major mutation(75人)では奏効率は68%だが、minor mutation(8人)では25%と有意に低かった(p=0.016)。

 これらのことから山根氏は、「EGFR 遺伝子変異のうち、minor mutationのみを有する肺癌はmajor mutationを有する肺癌と比較して、異なった臨床病理学的特徴を有し、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の感受性が異なる可能性が示唆された」と結論づけた。また「EGFR 遺伝子変異陽性でも、その中を見るべきで、minor mutationであればEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を初回治療で積極的には使用しない方がいいだろう」と話した。