内科症例を初めて登録した肺癌登録調査で、肺癌の5年生存率は44%だが、性別や臨床病期、組織型、治療法、全身状態(PS)によって予後は異なることが確認された。肺癌登録合同委員会のメンバーで大阪大学呼吸外科の澤端章好氏が、4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。

 これは、日本肺癌学会と日本呼吸器外科学会、日本呼吸器学会による肺癌登録合同委員会が行っている登録事業による。

 同委員会は、第3次登録事業として、2002年に原発性肺癌の初診患者を治療前に登録し、2004年と2009年に治療法や予後を調査した。全国から1万8552人が登録され、予後が把握できた1万4695人について解析した。

 第2次登録事業までは外科症例のみであったが、第3次登録事業からは内科症例が含まれる。ただし、今回の調査では「手術あり」の患者が6割を占め、外科症例が多かった。

 男女比は2:1で、平均年齢は手術あり群が66.4歳、手術なし群が68.2歳。PSは手術あり群では大半が1〜2であるが、手術なし群では3以上が30%を占めた。臨床病期別では、I/II期が手術あり群では80%を占めたが、手術なし群では10%、組織型は腺癌が最も多く半数以上を占め、続いて扁平上皮癌、小細胞癌が多かった。また、小細胞癌の比率が手術あり群では2%であるのに対し、手術なし群では19%と高かった。

 治療については、手術あり群では補助療法(術前・術後化学療法、術前・術後放射線療法)が35%に行われており、手術なし群では緩和治療が20%に行われていた。

 予後は、1年生存率が73%、2年生存率が59%、3年生存率が51%、4年生存率は47%、5年生存率では44%であった。性別では女性の予後の方が男性より良く、組織型別では腺癌が最も良く、次に扁平上皮癌であり、全体として非小細胞癌の方が小細胞癌より良好だった。治療法別では「臨床病期のバイアスがかかっている」(澤端氏)が、手術ありの患者の方が手術なしの患者より顕著に予後は良かった。

 臨床病期別ではIA期の5年生存率が79%、IB期が56%、IIA期が47%、IIB期が42%、IIIA期が29%、IIIB期が16%、IV期が6%だった。多変量解析の結果、非小細胞肺癌では臨床病期、性別、組織型、治療法、PSが生存率に対し独立した因子であることが示されたが、小細胞肺癌では、IA期とIB期、IA期とIIA期、および手術と化学療法+放射線療法との間に有意差が認められなかった。

 詳細な結果は、Journal of Thoracic Oncology(JTO)誌に掲載される。

 国際肺癌学会(IASLC)は2016年にTNM分類を改訂することから、同委員会では2010年外科症例の後ろ向き登録と、2012年内科症例の前向き登録を行い、「症例を集積して、日本からの発言の力を強めていきたい」(澤端氏)としている。また座長で帝京大学医学部附属病院の江口研二氏は、「今後は分子標的薬の使用やEGFR遺伝子変異の有無などもデータベースに入れることになるだろう」と述べた。