エルロチニブで進行(PD)した肺腺癌・非喫煙症例に対するペメトレキセドの投与は、有効性が高く、血液毒性も認容できる範囲である反面、皮疹の改善には長期を要する結果が示された。4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で、国立病院機構弘前病院呼吸器科の中川英之氏が発表した。

 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)のエルロチニブは、肺腺癌・非喫煙症例で有効性が高い。中川氏らは昨年の同学会で、EGFR-TKIの奏効率が高く、間質性肺炎(ILD)発症のリスクが低いと考えられる腺癌・非喫煙症例にエルロチニブを投与し、EGFR遺伝子変異の有無に関わらず高い有効性と安全性が示されたことを報告している。

 また、葉酸代謝拮抗剤のペメトレキセドは進行肺腺癌症例で有効性が高い。EGFR-TKIが無効となった肺腺癌症例は、ペメトレキセドの良好な適応となると考えられる。

 今回、中川氏らは、エルロチニブが無効となった肺腺癌症例にペメトレキセドを投与した場合の有効性と安全性を検討した。

 ペメトレキセドの投与はエルロチニブの最終投与から1週間以上間隔をあけ、500mg/m2を投与した。

 対象は8人(年齢中央値73.9歳、男性1人)。病期はIBとIIIBが各1人、IVが6人だった。エルロチニブの最良効果は部分奏効(PR)6人、安定状態(SD)2人で、無増悪期間(TTP)の中央値は281日だった。EGFR変異については、変異(L858R)を認めたのは1人で、野生型は3人だった。

 RECISTによる評価に加え、測定可能病変がない場合は、CEAが前値の2/3に低下した場合もPRと判定した。

 8人の最良効果は、PR2人、SD6人で、奏効率(RR)は25%であった。病勢コントロール率(DCR)は100%となった。3人は現在もペメトレキセドの投与を継続中で、10〜14サイクルと長期投与中である。

 有害事象として、発疹は全グレードでは100%、グレード3は38%に発現した。これらの値には、改善に長期を要するエルロチニブによる発疹の残存も含まれた。グレード3の発疹が発現した症例では高熱が持続し、4週間以上にわたるデキサメタゾンの全身投与が必要となった。血液毒性はグレード3以上のものは認められなかった。

 エルロチニブによる発疹は、同剤中止後も長期間持続することが多い。エルロチニブより低いものの、ペメトレキセドも高頻度に発疹が発現する薬剤であり、投与により発疹が増悪する可能性は高い。そのため、エルロチニブによる治療歴がある患者にペメトレキセドを投与する場合、中川氏らは投与前日からデキサメタゾンを開始し、day3まで継続し対応している。

 中川氏は、「発疹の管理の点からは、EGFR遺伝子変異の有無に関わらず、ペメトレキセド、そしてエルロチニブの順序で投与する方が認容性に優れると考えられる」と話した。