ゲフィチニブによる一次治療は、標準的な化学療法であるシスプラチンとドセタキセルに比べ、EGFR変異陽性の非小細胞肺癌患者で無増悪生存期間を延長させ、生存期間も延長する可能性が示された。フェーズ3試験「WJTOG3405」の結果によるもので、大阪府立呼吸器アレルギー医療センター肺腫瘍内科の平島智徳氏らが、4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。

 フェーズ3試験は、EGFR変異(エクソン19欠失、エクソン21 L858R)があり、75歳以下、未治療でステージ 3B/4または術後再発の非小細胞肺癌患者を対象に、ゲフィチニブ群の化学療法群に対する優越性を検証した。ゲフィチニブ群にはゲフィチニブ250mg/ 日を連日投与した。化学療法群にはシスプラチン80mg/m2とドセタキセル60mg/m2を3週おきに投与し、これを3サイクルから最大6サイクル継続した。

 症例登録は2006年3月から開始され、当初は術後再発患者のみであったが、同年7月にステージ 3B/4患者も対象とした。2008年にIPASS試験、2009年にNEJ002試験の結果が報告されたのを受け、2009年7月1日に試験は中止された。

 2009年6月30日までに36施設で登録された172人について、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が解析され、結果は昨年の第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されている。PFS中央値はゲフィチニブ群が9.2カ月、化学療法群が6.3カ月で、ハザード比は0.489(95%信頼区間:0.336-0.710、p<0.0001)と、ゲフィチニブ群で有意に延長した。

 また術後再発患者(71人)におけるPFS中央値はゲフィチニブ群が13.7カ月、化学療法群が8.1カ月で、ステージ 3B/4患者(101人)のPFS中央値はそれぞれ8.4カ月、5.3カ月であった(Lancet Oncol. 2010,11:121-28)。奏効率は評価可能であった117人において、ゲフィチニブ群では62.1%、化学療法群は32.2%と、ゲフィチニブ群で有意に優れた結果となった(p<0.0001)。病勢制御率はそれぞれ93.1%、78.0%だった。

 全生存期間中央値はゲフィチニブ群(86人)が30.9カ月だったが、化学療法群(86人)では全生存期間中央値に達していない。なお、ゲフィチニブと化学療法を比較したNEJ002試験ではゲフィチニブ群の全生存期間中央値は28.0カ月、化学療法群(カルボプラチン+パクリタキセル)は23.6カ月と報告されている。WJTOG3405試験でも、ゲフィチニブ群の生存曲線は化学療法群を上回っているが、「クロスオーバーが入っているので、今後どう推移するかはわからない」と平島氏は慎重に答えた。

 サブ解析では、女性/男性、非喫煙/喫煙、術後再発/ステージ3B/4、エクソン19欠失/L858Rのいずれのサブグループでもゲフィチニブ群のPFSが良好であった。多変量解析からは、ゲフィチニブ治療は化学療法に比べてPFSが有意に良好であり、さらに術後再発患者のほうがステージ3B/4患者よりも予後良好であることが示された(ともにp<0.0001)。

 平島氏は、「ゲフィチニブ群で1人が間質性肺炎で死亡したが、両治療とも安全で忍容性がある」と結論づけた。ただし実臨床で、どちらを先に使うべきかについては、「ゲフィチニブを先に使うと、そのまま続けることが多く、白金系抗癌剤を使わないリスクがある。逆にEGFR変異のある患者さんに化学療法を先に使うと、途中で具合が悪くなって、ゲフィチニブが使えなくなるリスクもある。どちらのリスクが大きいかは現時点ではわからない」と話した。生存期間の結果が待たれる。