S-1単剤療法は80歳以上の高齢者の非小細胞肺癌(NSCLC)に対し認容性があり、有効な選択肢となる可能性が示された。4月23日から25日まで京都市で開催された第50回日本呼吸器学会学術講演会で、高知県・高知市病院企業団立高知医療センター呼吸器アレルギー科の浦田知之氏が発表した。

 80歳以上の超高齢者において、NSCLCは増加傾向にあるものの、標準治療は確立していない。しかし、近年では高齢者に対するS-1単剤療法の有効性も報告されている。

 浦田氏らは、同院における超高齢者NSCLCに対するS-1単剤療法の安全性と有効性を明らかにすることを目的として、後ろ向きに検討した。

 対象は、2004年10月〜2009年10月に同院で治療した超高齢者進行NSCLC患者26人(平均年齢83.5歳、男性11人)。PSは0が5人、1が9人、2が10人で、家族が治療を強く希望したPS 3の2人も含まれた。病期はI期4人、IIIB期11人、IV期11人。腺癌が多く、20人を占めた。治療は、ファーストライン治療が22人、セカンドライン治療が4人だった。

 S-1は1日2回、14日間連続投与し、その後1週間休薬とし、増悪(PD)または副作用で投与できなくなるまで継続とした。

 その結果、S-1の投与コースの平均値は10.0(範囲:1〜48)コースだったが、減量や投与間隔の延長が必要だった。

 有害事象については、グレード3の間質性肺炎を1人に認めたが、血液毒性、非血液毒性ともに比較的軽微であった。

 病期がI期およびセカンドライン治療を含む全対象の26人で有効性をみると、無増悪生存期間(PFS)の中央値は6.5カ月、全生存期間(OS)については生存期間中央値(MST)に到達しなかった。奏効率は19%、病勢コントロール率は81%だった。

 さらに病期がIIIB、IVかつファーストライン治療の18人の有効性をみると、PFSの中央値は5.8カ月、MSTは24.7カ月だった。奏効率は28%、病勢コントロール率は78%だった。3人(11%)で部分奏効(PR)後、長期の病勢コントロールが可能だった。

 この結果について浦田氏は、「既存の報告と比較しても遜色ない成績だった」と話した。