会長を務める信州大学医学部内科学第一講座教授の久保惠嗣氏

 第50回日本呼吸器学会学術講演会が4月23日から25日までの3日間、京都市内で開催される。大きく変わりつつある呼吸器科癌治療の最前線の研究結果が報告される。会長を務める久保惠嗣氏(写真)にトレンドをうかがった。


―― 最近の呼吸器科分野における癌のトピックスは何ですか。

久保 抗癌剤では、一番はまず分子標的治療薬の登場です。ゲフィチニブ、エルロチニブが登場し、最近ベバシズマブも利用できるようになり、さらに新しい薬剤も出てくるという期待が高まっています。次いで、ペメトレキセドが登場したことです。非扁平上皮癌に効果があるというで、組織型別の治療という新しい道が開けました。肺癌に対する抗癌剤の種類が非常に増え、その結果、ファーストライン、セカンドライン、サードラインと薬剤を変えつつ治療を行えるようになりました。

 検査では、CTを使った早期肺癌の発見が進んできたと思います。特に、松本市は市が補助金を出して積極的にCT検診を行っています。少なくとも松本市の成績では普通の単純X線写真の場合と比べて発見率は10倍以近くになります。

 手術は、患者の負担の少ない胸腔鏡下手術が普及してきました。

―― 信州大学で行っている新しい肺癌治療はありますか。

久保 早期の肺癌で、高年齢あるいは呼吸機能が悪くて手術はちょっと難しいという患者に対して、肺癌を焼灼術で治療しようとする試みがあります。医学部附属病院がん総合医療センターの小泉知展氏と共同で行っているものです。

 末梢の腫瘤性病変に対して、CTガイド下で経気管支鏡的に肺癌組織の中央部にカテーテルを挿入し、アブレーションします。どれぐらいの時間で熱を発生させて焼灼できるか、あるいはカテーテル先端部の改良により熱が放出されるか、などを研究しています。現時点では、患者さんにお願いして、その後手術もさせていただいて焼灼効果を調べている段階で、結論を出すのは早いですが、既に20人以上で実施しています。

 CT検診などの普及で、野口の分類のA型やB型など、かなり早期の腫瘍が発見されるようになっています。もちろん手術が一番有効な手段ですが、多発例や、合併症を有しどうしても手術ができない患者さんには、定位放射線治療などと並んで将来的には利用できる技術の1つになる可能性があると思います。