高齢者の切除不能局所進行型非小細胞肺癌(NSCLC)に対する2つのランダム化比較試験、JCOG9812、JCOG0301の統合解析から、カルボプラチン併用化学放射線療法は高齢者の局所進行型肺癌で有用であり、臨床試験における放射線治療品質管理(RTQC)はきわめて重要と考えられる結果が示された。11月21日から22日まで東京都で開催された第54回日本肺癌学会総会で、岐阜市民病院呼吸器・腫瘍内科の澤祥幸氏が、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)肺がん内科グループを代表して発表した。

 JCOG肺がん内科グループでは、高齢者III期NSCLCを対象として、ランダム化比較試験、JCOG9812とJCOG0301を行った。

 JCOG9812は、各群95例、両群計190例を予定登録数として、1999年11月に開始され、2001年8月に実登録数46例で中止となった。試験早期に46例中4例の治療関連死を認めたためで、放射線治療計画の逸脱が指摘された。当時は、多くの施設で平面の画像を用いて治療が行われていた。

 その後、RTQCなどを導入して安全対策を講じ、同じレジメンで登録基準を厳格化し新たな試験としてJCOG0301を完遂した。JCOG0301は、各群100例、両群計200例を予定登録数として、2003年9月に開始され、2010年5月に登録が終了した。同試験は、2011年3月に行われた第2回中間解析から有効中止となった。結果はESMO2011で早期公表された。

 JCOG9812、JCOG0301の評価項目は共通しており、主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は奏効率、無増悪生存期間(PFS)、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合、増悪部位(照射野外・照射野内の別)だった。

 両試験の適格基準は、切除不能局所進行型のIIIA/IIIB期のNSCLC、71歳以上、PS 0-2などで、JCOG0301では「シスプラチンを含む併用化学療法が不適切と判断される」が加えられた。放射線治療単独で60Gy/30回を照射するRT群、化学放射線療法としてカルボプラチン30mg/m2を60Gy/30回照射中1-20回目まで併用するCRT群のいずれかに、患者をランダムに割付けた。

 JCOG9812には各群23例、計46例、JCOG0301には各群100例、計200例が登録され、計246例で統合解析を行った。全登録例の患者背景は、RT群(123例)とCRT群(123例)において、年齢中央値はいずれも77歳、男性はそれぞれ103例と96例、組織型では腺癌が47例と59例、扁平上皮癌が71例と53例だった。PS 0/1/2は、RT群では44/74/5例、CRT群では50/69/4例、IIIA/IIIB期はそれぞれ65/58例と63/60例だった。

 全適格例(243例)において、奏効率は、RT群(121例)46.3%、CRT群(122例)53.3%だった。効果判定基準は、JCOG9812はWHO基準、JCOG0301はRECIST v1.0だった。

 全適格例のOS中央値、PFS中央値はいずれもCRT群で有意に良好だった。OS中央値は、RT群16.3カ月、CRT群20.7カ月(ハザード比0.672[95%信頼区間:0.502-0.898]、層別log-rank検定 片側p=0.0034)、PFS中央値は、RT群6.5カ月、CRT群8.8カ月となった(ハザード比0.671[95%信頼区間:0.514-0.875]、層別log-rank 片側p=0.0015)。

 JCOG0301単独の最新のOS中央値は、RT群16.5カ月、CRT群22.4カ月(ハザード比0.66[95%信頼区間:0.48-0.91]、p=0.0011)、PFS中央値は、RT群6.9カ月、CRT群8.9カ月(ハザード比0.66[95%信頼区間:0.50-0.89]、p=0.0060)で、今回の統合解析の結果と大きな差はないが、OS、PFSはともに統合解析でp値が低下していた。

 サブグループ解析では、75歳以下、IIIA期、男性、PS 0、喫煙者でCRT群の生存が良好だった。

 全適格例における初発の増悪部位は、両群でほぼ同様の割合で、RT群では局所37.2%、遠隔34.7%、局所+遠隔13.2%、CRT群ではそれぞれ32.8%、33.6%、12.3%だった。再発がない患者の割合は、RT群の14.0%と比べてCRT群で21.3%と多かった。

 グレード3または4の血液毒性はCRT群で多く発現し、感染(JCOG0301のみ)もCRT群で多かった。試験別のグレード3または4の肺臓炎、遅発性肺障害、治療関連死は、JCOG9812ではそれぞれ4.4%、14.0%、8.9%、JCOG0301では2.1%、5.9%、3.6%となり、RTQCを導入したJCOG0301で少なかった。

 RTQCの成果として、許容できないプロトコールの逸脱は、JCOG9812の60%から、JCOG0301では7.6%に低下した。JCOG0301には、JCOG9812の試験デザインにQuality Control(QC)/Quality Assurance(QA)のプログラムが追加されている。澤氏は「QC/QAだけではなく、多くの施設でCTシミュレータの導入が進んだこと、多くの放射線科医のコンセンサスが一致してきたことも影響したと考えられる」と述べた。