切除不能局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、シスプラチン(CDDP)とS-1の併用化学療法と胸部同時放射線照射は忍容性があり、長期成績も期待できる治療法と考えられる結果が、フェーズ2試験から示された。11月21日から22日まで東京都で開催された第54回日本肺癌学会総会で、がん研究会がん研有明病院呼吸器センター内科の大柳文義氏が発表した。

 切除不能局所進行NSCLCに対する標準的治療は放射線化学療法であるが、第3世代の薬剤を含む化学療法と放射線同時照射療法では、急性期の毒性が増加するため、full doseの化学療法の実施は困難である。一方、S-1は放射線療法との併用で増感効果を示す。S-1はCDDPまたはカルボプラチンとの併用療法で、進行NSCLCに対し良好な治療成績が報告されている。

 そこで大柳氏らは、放射線同時併用による相乗効果を期待し、未治療の切除不能局所進行NSCLC患者を対象として、CDDPとS-1の併用化学療法と胸部同時放射線照射のフェーズ2試験を実施し、成績を報告している(F. Ohyanagi, et al. British Journal of Cancer (2009)101, 225-231)。主要評価項目である奏効率は87.5%、追跡期間中央値25.4カ月の時点において、無増悪生存期間(PFS)中央値は12.0カ月、生存期間中央値(MST)は33.1カ月だった。

 今回大柳氏らは、同試験の長期成績を報告した。

 同試験の対象は、NSCLCと病理診断された、20-74歳、PS 0-1の切除不能III期の症例だった。

 治療方法として、化学療法では、CDDP 60mg/m2を1日目に点滴投与し、S-1 80mg/m2/日を1-14日目まで経口投与、4週毎に4サイクルまで繰り返した。放射線療法では、1回2Gy、週5回の照射を30回、総線量60Gyまで、2日目から照射した。

 2005年8月から2007年4月までに50例が登録され、適格基準を満たした症例は48例だった。年齢中央値は63歳(範囲:35-74)、男性が42例、PS 0の患者が35例を占めた。臨床病期ではIIIA期が22例、IIIB期が26例で、組織型では腺癌が30例、扁平上皮癌が12例だった。

 観察期間中央値は76カ月(範囲:68-89カ月)となった。PFS中央値は今回の検討でも12カ月で、大柳氏は「ほぼプラトーに達した」とコメントした。

 OS中央値は2.8年(95%信頼区間:1.04-4.63)となり、3年および5年生存率はそれぞれ49.7%(95%信頼区間:35.6-63.8)と33.0%(95%信頼区間:20.0-46.6)だった。

 同試験では、血液毒性としてグレード3以上の白血球減少と好中球減少が多く、それぞれ25%と23%に発現した。非血液毒性では、グレード3の食道炎が10%、肺臓炎が5%に発現した。長期成績でも有害事象の増加は認められなかった。

 再発は、2009年に30例で認め、内訳は、局所12例(40%)、局所+遠隔3例(10%)、遠隔15例(50%)だった。2013年には34例となり、内訳は、局所12例(35%)、局所+遠隔5例(15%)、遠隔17例(50%)だった。

 最期に大柳氏は、CDDPとS-1の併用化学療法と放射線療法の併用について、現在進行中のWJOG5008L試験とTORG1018試験を紹介した。WJOG5008L試験は、未治療の切除不能局所進行NSCLCに対し、胸部放射線とS-1+CDDP同時併用療法および胸部放射線とビノレルビン+CDDP同時併用療法を比較するランダム化フェーズ2試験。TORG1018試験は、未治療の切除不能根治照射可能局所進行NSCLCに対し、CDDP+S-1と胸部放射線同時併用療法およびCDDP+ドセタキセルと胸部放射線同時併用療法を比較するランダム化フェーズ2試験である。