肺癌化学療法時の発熱性好中球減少症(FN)に対するセフェピム(CFPM)またはメロペネム(MEPM)による治療において、両剤には有効性と安全性に関する有意差はないと考えられる結果が、九州肺癌研究機構(LOGIK)によるフェーズ2のランダム化比較試験から示された。11月21日から22日まで東京都で開催された第54回日本肺癌学会総会で、健康保険諫早総合病院呼吸器内科の井上祐一氏が発表した。

 米国感染症学会(IDSA)は2010年、FNに対する抗菌薬のガイドラインを改定し、ピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)、CFPM、セフタジジム(CAZ)、イミぺネム(IPM/CS)、MEPMをEmpiric therapyの単剤療法として推奨している。

 国内の固形癌化学療法に伴うFNに対するエビデンスは少ないが、LOGIK0404研究では、CFPMによる治療成績は「有効」(3日間以内に解熱傾向があり、投与開始後7日間以内に平熱まで解熱し、かつ感染症に伴う臨床症状および検査所見の改善がみられた症例)以上の割合が75%となったことが示された。

 井上氏らは、肺癌化学療法時のFNに対し、厚生労働省より適応承認を得ているCFPMとMEPMの位置づけに関する探索的臨床研究を行うことを目的として、前向きの比較試験を行った。

 同研究では、肺癌化学療法に伴うFNについて、事務局が月決めクラスターランダム化を行い、割付因子は登録施設とした。CFPM群では2g×2/日を、MEPM群では1g×3/日を投与した。主要評価項目は奏効率で、最終的にLOGIK0404研究の臨床効果の規定(前述の「有効」)で評価した。副次的評価項目は、72時間、7日後、14日後の解熱割合、安全性だった。

 45例が登録され、CEPM群21例、MEPM群24例となった。試験実施計画書適合症例は、CEPM群17例、MEPM群21例となった。CEPM群とMEPM群の患者背景は同様で、発熱時のリスクを判定するためのスコアリングシステム(Multinational Association for Supportive Care in Cancer scoring system:MASCC)のスコアの中央値も差がなかった。経過中、1例が死亡した。

 LOGIK0404研究の臨床効果の規定で評価すると、CEPM群は17人中16人(94.1%)、MEPM群は21人中18人(85.7%)で有効となり、両群に有意差は認めなかった。

 72時間後、7日後、14日後の解熱割合は、CEPM群ではそれぞれ70.59%、86.67%、100.00%、MEPM群ではそれぞれ65.00%、84.21%、92.31%となり、いずれも有意差は認めなかった。

 有害事象は、CEPM群の33.33%、MEPM群45.83%に発現した。CEPM群では、AST、ALT、ALP、LDHの高値、下痢など、MEPM群ではAST、ALT、ALPの高値、皮疹・紅斑などが発現したが、いずれも改善を示した。