非小細胞肺癌(NSCLC)に対するベバシズマブ治療において、喀血の発現頻度は0.33%であり、発現リスク因子として区域枝までの中枢気道への腫瘍の露出など3つの因子が見出された。特定使用成績調査を用いたネステッドケースコントロール研究から明らかになった。11月21日から22日まで東京で開催されている第54回日本肺癌学会総会で、和歌山県立医科大学内科学第三講座の山本信之氏らが発表した。

 2009年12月から2011年8月までにベバシズマブ投与予定で登録された6774例を対象に喀血発現率を算出した。喀血はグレード3以上、あるいは注射止血剤を使用したグレード2とした。観察期間はベバシズマブ初回投与開始から24週間とした。

 この結果、喀血が認められた患者は23例(ケース症例)、喀血発現率は0.33%であった。内訳は、グレード2が4例、グレード3以上が19例。年齢中央値は64歳、腫瘍の大血管への浸潤ありが3例、主気管支または葉気管支への腫瘍浸潤ありが3例、胸部放射線療法の併用ありが3例だった。

 個々のケース症例と、性別と年齢をマッチさせて1:4の割合で選定したところ、92例が選定された(コントロール症例)。非投与、重複症例を除き、ケース症例23例、コントロール症例90例を対象に解析を行った。

 条件付きロジスティック解析(ステップワイズ法)により、多変量調整オッズ比を算出した。リスク因子の選択水準をp値0.2未満とした結果、胸部放射線療法の併用(オッズ比6.19)、区域枝までの中枢気道への腫瘍の露出(同5.29)、胸部放射線療法の前治療(同2.76)がリスク因子として抽出された。このうちχ2検定で有意であったのは、区域枝までの中枢気道への腫瘍の露出(p=0.0256)のみだった。

 以上のことから、リスク因子を有する患者への対応として、山本氏は以下のようにまとめた。

 胸部放射線療法の併用がある患者には、「これまでの海外の臨床試験と同様に、ベバシズマブ投与中の放射線照射は避ける」。胸部放射線療法の前治療がある患者には、「ベネフィット・リスクを考慮の上、ベバシズマブ投与の可否を慎重に検討する」とした。

 また第三者判定による画像評価結果に基づいて、区域枝までの中枢気道への腫瘍の露出のある患者に、ベバシズマブ投与を検討する場合は「気管支内視鏡で中枢気道への腫瘍の露出の有無を確認し、腫瘍の露出がある場合は投与回避を検討する」とした。

 そして「3つのリスク因子を踏まえて、適切にベバシズマブ投与の患者を選択していくことが必要である」と述べた。