進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する1次治療として、ABI-007(nab-パクリタキセル)+カルボプラチン(CBDCA)併用療法(nab-P/C群)とパクリタキセル(PTX)+CBDCA併用療法(P/C群)を比較した国際共同第III相試験の日本人の層別解析から、奏効率はnab-P/C群の方が高く、忍容性も良好であることが示された。11月8日から岡山市で開催された第53回日本肺癌学会総会で、兵庫県立がんセンター呼吸器内科の里内美弥子氏が発表した。

 nab-パクリタキセルは、ヒト血清アルブミンにPTXを結合させたナノ粒子化製剤。クレモホールEL(ポリオキシエチレンヒマシ油)やエタノールを使用しておらず、コルチコステロイドや抗ヒスタミン薬などの前投薬は不要である。点滴静注に必要な時間は30分と短い。
 
 日本を含む6カ国が参加したこの第III相試験では、IIIb期またはIV期のNSCLCで、化学療法未治療のPS 0または1の患者1052人を対象とした。1サイクルを21日として、nab-P/C群(521人)ではnab-パクリタキセル 100mg/m2を前投薬なしで、1、8、15日目に30分かけて投与し、CBDCAはAUC6で1日目に投与した。P/C群(531人)では、標準的な前投薬(デキサメタゾンと抗ヒスタミン薬)を行った後、PTX 200mg/m2を1日目に3時間かけて投与し、CBDCAはAUC6で1日目に投与した。
 
 試験全体の結果として、主要評価項目の奏効率(ITT解析対象)は、nab-P/C群33%、P/C群25%となり、nab-P/C群で有意に高かった(p=0.005)。奏効率は特に扁平上皮癌で良好であった(nab-P/C群41%、P/C群24%、p<0.001)。無増悪生存期間(PFS)中央値はnab-P/C群6.3カ月、P/C群5.8カ月(ハザード比0.902)、全生存期間(OS)はそれぞれ12.1カ月と11.2カ月(ハザード比0.922)で、nab-P/C群で良好な傾向にあった。70歳以上の高齢者では、OS中央値はそれぞれ19.9カ月と10.4カ月となり、nab-P/C群で有意に延長した(ハザード比0.583、p=0.009)。

 同試験には日本から21施設が参加しており、全体の14%を占めた。今回里内氏らは、日本人患者における有効性と安全性について評価、報告した。

 日本人患者はnab-P/C群74人、P/C群75人だった。両群の患者背景はバランスがとれており、nab-P/C群とP/C群の年齢中央値はそれぞれ65歳と64歳、70歳以上の患者の割合は20%と21%、両群ともに腺癌が70%以上を占めた。

 奏効率はnab-P/C群35%、P/C群27%であり、奏効率の比は1.318だった。組織型別では扁平上皮癌でnab-P/C群50%、P/C群43%、非扁平上皮癌でnab-P/C群33%、P/C群25%となった。

 PFS中央値はnab-P/C群6.9カ月、P/C群5.6カ月(ハザード比0.845)、OS中央値はそれぞれ16.7カ月と15.9カ月(ハザード比0.930)で、いずれもnab-P/C群で良好な傾向が示された。

 治療に関連する血液毒性では、グレード3以上の血小板減少はnab-P/C群14%、P/C群3%、貧血はそれぞれ32%と9%に発現し、nab-P/C群で有意に高かった(それぞれp=0.016、p<0.001)。

 非血液毒性では、グレード3以上の末梢神経障害はnab-P/C群で3%、P/C群で13%に発現し、nab-P/C群で有意に低かった(p=0.032)。グレード3以上の末梢神経障害がグレード1に改善するまでの期間の中央値はそれぞれ17.5日と62.5日で、nab-P/C群が有意に短かった(p=0.028)。臨床上問題となるグレード2以上の末梢神経障害の発現率も、nab-P/C群はP/C群と比べて有意に低かった(p<0.001)。70歳以上の高齢者ではグレード3以上の末梢神経障害の発現率にさらに差がみられ、nab-P/C群7%、P/C群44%となった(p=0.039)。
 
 日本人患者における有効性は同試験全体の結果と矛盾せず、忍容性は良好であったことから、里内氏は「nab-パクリタキセル+CBDCA併用療法は今後の治療に有望な選択肢と考えられる」と話した。