間質性肺炎合併非小細胞肺癌(NSCLC)に対するファーストライン治療としてのカルボプラチン(CBDCA)+パクリタキセル(PTX)療法は過去の報告と同様に増悪の頻度は比較的低く、非合併例とほぼ同様の奏効率、生存期間が示された。11月3日から大阪市で開催された第52回日本肺癌学会総会で、東京医科歯科大学医学部呼吸器内科の坂下博之氏が発表した。

 間質性肺炎合併NSCLCの抗癌剤治療では、レトロスペクティブな解析からCBDCA+PTX療法の忍容性が比較的高いことが報告されている。

 坂下氏らは、同科で経験した間質性肺炎合併NSCLCで抗癌剤治療を行った症例について、治療ライン別にレジメン、効果、間質性肺炎の増悪を検討した。

 対象は、2009年10月から2011年10月までに同科に入院し、抗癌剤治療を行った間質性肺炎合併NSCLCの患者22人(全例男性、治療開始時の年齢中央値69歳)。組織型は、腺癌12人、扁平上皮癌9人、腺扁平上皮癌1人だった。EGFR遺伝子変異が測定された15人は全例陰性だった。

 ファーストライン治療では、CBDCA+PTXが19人、ドセタキセル(DTX)が2人、CBDCA+ゲムシタビン(GEM)が1人に投与された。

 間質性肺炎の増悪を22人中3人(14%)に認め、レジメンではCBDCA+PTXで2人、DTXで1人だった。

 治療効果は、完全奏効(CR)2人、部分奏効(PR)5人、安定状態(SD)11人で、奏効率は32%、病勢コントロール率は82%だった。ファーストライン治療開始後の生存期間の中央値は320日となった。
 
 セカンドライン治療は11人に行われた。ファーストライン治療で間質性肺炎が増悪した3人中2人はPSが低下し、セカンドライン治療は行われなかった。DTXが3人、ビノレルビン(VNR)が2人、CBDCA+VNRが2人、シスプラチン(CDDP)+VNRが1人、TS-1が2人、CBDCA+ペメトレキセド(PEM)が1人に投与された。
 
 間質性肺炎の増悪を11人中3人(27%)に認め、レジメンではCBDCA+PEMで1人、DTXで1人、CBDCA+VNRで1人だった。
 
 セカンドライン治療では、PD 5人、副作用中止4人、経過観察中1人、追跡不能1人となった。セカンドライン治療開始後の生存期間の中央値は139日だった。

 サードライン以降の治療は22人中4人に行われ、DTXが2人、CBDCA+TS-1が1人、TS-1が1人に投与された。間質性肺炎の増悪はDTXで1人に認められた。CBDCA+TS-1を投与した患者は骨髄抑制のため、フォースライン治療としてTS-1単独治療が行われている。
 
 間質性肺炎増悪の頻度は、レジメン別では、CBDCA+PTXで2人(10.1%)、DTXで3人(42.9%)、CBDCA+VNRで1人(50%)、CBDCA+PEMで1人(100%)だった。薬剤別では、CBDCAで4人(16.7%)、PTXで2人(10.5%)、DTXで3人(42.9%)、VNRで1人(20%)、PEMで1人(100%)だった。TS-1では増悪はみられなかった。DTXで高い値となったが、坂下氏は「今回の結果だけでは断定はできない」とした。

 間質性肺炎の増悪に関与する有意な背景因子は認められなかったが、KL-6が関与する可能性が考えられた。
 
 生存期間中央値(MST)は、間質性肺炎の増悪を認めた場合は199日、認めなかった場合は472日で、有意な相関が認められた(p=0.007)。
 
 坂下氏は「セカンドライン治療以降は奏効例もなく、間質性肺炎の増悪の頻度が高く、副作用中止例も多くみられた。適応はより慎重であるべきと考える」と話した。