肺癌脳転移ガンマナイフ(GK)単独治療を行った700人を超える患者の検討から、症例あたりの脳転移数が少数であるほど生存期間が延長し、女性、頭蓋外病変の制御、高いKarnofsky Performance Status(KPS)score、腺癌も生命予後良好因子となることが示された。11月3日から大阪市で開催された第52回日本肺癌学会総会で、大阪市立総合医療センター脳神経外科の山中一浩氏が発表した。

 直径3cmまでの転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療(GKS)の効果は確立されている。同センターの治療方針として、転移性脳腫瘍が直径3cm以下で個数が10個以下の場合はGKS、直径3cm以上で全身制御がされている場合は摘出術+GKS、直径3cm以上で手術が困難な部位に位置する場合、全身制御が不可能な場合、10個以上の多発病変の場合は全脳照射(WBRT)が考慮されてきた。

 山中氏らは多発性の肺癌脳転移症例もGK単独治療の方針としており、治療成績と有用性について検討した。

 対象は、2001年1月から2009年12月までにGKSを行った、肺癌脳転移を有する患者711人。男性は470人、平均年齢は65歳(範囲:20〜93)だった。組織型は、腺癌57%、扁平上皮癌14%、小細胞癌11%などだった。頭蓋外病変が制御されていたのは35%だった。GKS施行前の治療歴は、摘出術3.5%、WBRT 3.2%、定位手術的照射(SRS)1%だった。

 病変数は平均3.2個(範囲:1〜16)だった。単発病変は284人(40%)、2〜4個が261人(37%)、5〜10個が140人(20%)、11個以上の患者も26人(4%)含まれた。病変1個あたりの体積は平均2.1mL(範囲:0.04〜54)だった。

 GKSの平均辺縁線量は18.2Gyだった。治療後は3カ月毎に神経症状をチェックするとともに造影MRIを撮影した。追跡期間の平均は12.4カ月だった。追跡中に再発や新病変が認められた場合に行われるサルベージ療法では、GKSは30%に行われ、最多で7回行われたケースもあった。手術は5%、WBRTは7%だった。

 生存期間中央値(MST)は13カ月だった。388人が死亡し、死因は、頭蓋外病変の進行が300人(77%)、脳転移31人(8%)、癌性髄膜炎34人(9%)などだった。

 生存率の比較では、年齢65歳未満(p=0.037)、女性(p<0.0001)、頭蓋外病変の制御(p<0.0001)、KPS scoreが80点以上(p<0.0001)で有意に良好だった。

 病変の個数によるMSTは、単発病変群で19カ月、2〜4個群で14カ月、5〜10個群で8カ月、11個以上群で5カ月となった。単発病変群と2〜4個群、2〜4個群と5〜10個群の間に有意差が認められた(p=0.046、p=0.02)。

 組織型によるMSTは、腺癌が他の組織型と比べて有意に良好で、扁平上皮癌が最も不良だった。体積では1mL未満の場合に局所制御率が良好で、1年後も90%以上を維持した。生存期間中の局所制御率は90.3%だった。

 多変量解析では、性別(p=0.0003)、頭蓋外病変の制御(p<0.0001)、KPS score(p<0.0001)、病変数(p=0.046)、組織型(p=0.003)が有意な予後因子となった。

 新病変出現までの期間の中央値は16カ月で、頭蓋外病変の制御(p<0.001)、KPS scoreが80点以上(p=0.0005)で有意に延長していた。

 病変数による新病変出現までの期間は単発病変群で有意に長く、個数の増加に伴い短縮した。組織型では腺癌と小細胞には差はなく、腺癌と扁平上皮癌には有意差がみられた。

 多変量解析では、年齢(p=0.03)、頭蓋外病変の制御(p<0.001)、病変数(p=0.03)、組織型(p=0.03)が新病変出現に関連する有意な因子となった。

 治療の合併症として症候性の放射線障害が22人(3%)に発現し、壊死の摘出(2人)、海綿状血管腫摘出(1人)などが行われた症例も含まれた。

 山中氏は「多発性の肺癌脳転移症例に対してもGKSを行い、施行後は3カ月毎に造影MRIを撮影し、新病変出現時や局所再発時には適切なサルベージ療法を行うことにより、脳病変による悪化を防ぎ、QOLの維持が期待できる」と話した。