ALK阻害剤であるクリゾチニブ(crizotinib)は、日本人のALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対して、忍容性は良好で、奏効率が93%と高いことが国際共同試験のサブセット解析で明らかになった。11月3日から大阪市で開催された第52回日本肺癌学会総会で、愛知県がんセンター中央病院呼吸器外科の光冨徹哉氏らが発表した。

 クリゾチニブは受容体チロシンキナーゼである未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤。ALK融合遺伝子陽性NSCLC患者119人(日本人15人を含む)を対象にした国際共同試験(1001試験)の拡大コホートで良好な成績が報告されている。試験では28日を1サイクルとして、クリゾチニブ250mgを1日2回投与した。

 今回は試験に参加した日本人15人のサブセット解析の結果が報告された。患者の年齢中央値は43歳(28-63歳)、男性が7人で、非喫煙者が13人、元喫煙者が2人。全例が腺癌であり、PS 0が3人、PS 1が8人、PS 2が4人だった。日本人患者と日本人以外の患者での性別、喫煙習慣、組織型の分布はほぼ一致していた。

 15人のうち部分奏効は14人で、奏効率は93.3%となった。全患者(評価できた116人)での奏効率は61.2%、アジア人(34人)では82.4%で、日本人の奏効率が高いことが示された。日本人の奏効期間は15.6週から53週だった。
 
 治療薬との因果関係が否定できない有害事象は、全患者119人では114人(96%)に見られたが、多くはグレード1/2だった。主な有害事象は、視覚障害、下痢、便秘、悪心、嘔吐、末梢性浮腫だった。なお視覚障害(視力障害や光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視)は74人(62%)に見られたが、すべてグレード1で、視覚障害による治療中止はなかった。

 日本人で有害事象は12人(80%)に見られ、安全性プロファイルは全患者と類似していた。主に視力障害(10人)、下痢(10人)、便秘(8人)、悪心(8人)、嘔吐(6人)、浮動性めまい(6人)、末梢性浮腫(4人)、食欲減退(4人)が見られたが、いずれもグレード1だった。グレード2以上の有害事象はグレード3の好中球減少のみ(3人)で、良好な忍容性が示された。

 日本人で奏効率が高い理由について、光冨氏は、「日本人ではALK融合遺伝子をFISHだけでなくRT-PCRなどで測定された患者が多く、そのために精度の高い診断ができたことが、有効性の差ではないかと考えている」と話した。