高齢者の切除不能局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対し、低用量連日カルボプラチン(CBDCA)+胸部放射線同時併用療法が胸部放射線単独療法との比較で生存期間を有意に延長し、新たな標準治療となる可能性がフェーズ3ランダム化比較試験(JCOG0301)から示された。11月3日から大阪市で開催された第52回日本肺癌学会総会で、新潟県立がんセンター新潟病院の田中洋史氏がJCOGを代表して発表した。

 高齢化が進む日本では、65歳を超える高齢者が占める割合は2010年には人口の約1/4となっており、高齢者の肺癌患者に対する治療戦略の確立は重要な課題である。
 
 JCOG0301試験では、高齢者の切除不能局所進行型NSCLCに対する低用量連日CBDCA+胸部放射線同時併用療法(CRT)の有用性について、胸部放射線単独療法(RT)との比較が行われた。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率、安全性などだった。

 対象は、ステージIIIA(手術の適応が考慮されるT3N1M0は除く)またはIIIBのNSCLC、71歳以上、シスプラチンベースの併用化学療法が不適切と判断された患者で、化学療法や放射線療法の治療歴はないこととした。

 RT群では60Gy/30回を照射し、CRT群では照射初回から20回目までCBDCA 30mg/m2を照射前に投与した。

 患者の登録は2003年9月から2010年5月まで行われた。2011年3月に行われた第2回中間解析において、主要評価項目の生存期間についてCRT群の方が有意に優れていたため、JCOGの効果安全性評価委員会の勧告を受け、同試験は有効中止となった。

 両群に各100人が割り付けされ、適格と判断されたのはRT群98人、CRT群99人だった。年齢中央値は両群で77歳、男性はRT群84人、CRT群80人だった。組織型は、RT群では腺癌41人、扁平上皮癌55人で、CRT群ではそれぞれ48人と42人だった。PS 0/1の割合は両群で同等、PS 2はRT群4人、CRT群3人だった。RT群ではステージIIIAは54人、IIIBは46人で、CRT群ではそれぞれ51人と49人だった。

 MST中央値は、RT群16.9カ月、CRT群22.4カ月で、ハザード比(HR)は0.68(95%CI:0.47-0.98)となり、有意にCRT群で延長した(p=0.0179)。

 PFS中央値は、RT群6.8カ月、CRT群8.9カ月で、HRは0.66(95%CI:0.49-0.90)となった(p=0.0044)。

 奏効率は、RT群44.9%、CRT群51.5%となった。

 グレード3以上の血液毒性はCRT群に多く発現したが、従来の報告とほぼ同様の結果と考えられた。グレード3以上の非血液毒性でCRT群のみに認められたのは、食道炎、出血、有熱性の好中球減少(2.1%)だった。感染は、RT群の4.1%に対し、CRT群では14.9%に発現したが、全例グレード3だった。肺炎はRT群のみ(3.1%)に発現した。

 グレード3以上の晩期毒性が発現したのは、RT群では心臓2.1%、肺6.4%、CRT群では食道1.1%、心臓1.1%、肺6.5%だった。治療関連死は、RT群4%、CRT群3%で、CRT群で増加することはなかった。