EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)の初回治療として、ゲフィチニブは化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善するが、全生存期間(OS)には有意差がないことが、無作為化フェーズ3試験NEJ002の最終解析で明らかになった。11月3日から大阪市で開催された第52回日本肺癌学会総会で、東北大学加齢医学研究所老年医学分野の沖永壮治氏らが発表した。

 NEJ002試験では、EGFR変異陽性の進行NSCLC患者の初回治療として、主要評価項目であるPFSで、カルボプラチン/パクリタキセルに対するゲフィチニブの優越性が示された(Maemondo M, et al., N Engl J Med 2010; 362:2380-2388, 2010)。
 
 この結果は2009年12月(以下、2009年データ)をカットオフとしていたが、今回の報告では各群114人を対象に2010年12月までのデータ(同、2011年データ)が解析された。

 解析の結果、PFS中央値は、2011年データではゲフィチニブ群が10.8カ月、カルボプラチン/パクリタキセル群が5.4カ月と、2009年データと同じだった。ハザード比は0.322(95%信頼区間:0.236-0.438、p<0.001)で、ゲフィチニブ群が有意に改善した。また2011年データの1年PFS率はそれぞれ43.8%、4.2%であった。なおイベント発生率は2009年データでは83%、2011年データは88%だった。

 OS中央値は、2011年データではゲフィチニブ群が27.7カ月、カルボプラチン/パクリタキセル群が26.6カ月、ハザード比は0.887(95%信頼区間:0.634-1.241、p=0.483)で、有意な違いがなかった。一方、2009年データではゲフィチニブ群が30.5カ月、カルボプラチン/パクリタキセル群が23.6カ月で、ゲフィチニブ群でOSが延長する傾向が示されていた。

 2011年データで、1年生存率はゲフィチニブ群が85%、カルボプラチン/パクリタキセル群が86.8%、2年生存率はゲフィチニブ群が57.9%、カルボプラチン/パクリタキセル群が53.7%だった。イベント達成率は2009年データでは36%だったが、2011年データは61%だった。

 後治療は、ゲフィチニブ群ではプラチナ製剤ベースの治療が64.9%の患者で行われていた。一方、カルボプラチン/パクリタキセル群では後治療としてゲフィチニブが98.2%の患者で使用されていた。このため、今回の2011年データでOSが2群間に違いが見られなかった理由として、「カルボプラチン/パクリタキセル群の98%が、ゲフィチニブでクロスオーバーされているため」と沖永氏は述べた。
 
 続いて、後治療を含めEGFR-TKIとプラチナ製剤によるOSへの影響をみたところ、EGFR-TKIとプラチナ製剤を両方とも使用した186人ではOS中央値は27.7カ月、EGFR-TKIのみでプラチナ製剤を使用しなかった40人では25.9カ月だった(p=0.462)。

 さらに3次治療以上を受けた患者を対象とした解析で、EGFR-TKIとプラチナ製剤に加え、単剤化学療法(ペメトレキセドまたはドセタキセル)を受けた76人ではOS中央値は34.8カ月、単剤化学療法を受けていない55人では22.6カ月だった(p=0.003)。

 このことから、「PSが良好な患者では、ゲフィチニブとプラチナ製剤、ペメトレキセドまたはドセタキセルといった薬剤を使い切ることが治療成績のさらなる向上につながる」とした。この点について、EGFR遺伝子変異を有する未治療進行NSCLCに対し、ゲフィチニブ単独療法とゲフィチニブ/カルボプラチン/ペメトレキセド併用療法を比較するフェーズ3試験(NEJ009)が進められている。

 そしてNEJ002試験の最終結語として、「EGFR変異陽性進行NSCLCに対して、キードラッグであるEGFR-TKIによる治療を逸することがないよう、EGFR-TKIを初回に投与することが強く推奨される」と述べた。