高齢者進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するファーストライン治療として、ドセタキセル単剤を投与する群(D群)とドセタキセルとシスプラチンを併用する群(DP群)を比較したフェーズ3の無作為化試験(JCOG0803/WJOG4307L)において、シスプラチンを併用する有用性は示されなかった。11月3日から大阪市で開催されている第52回日本肺癌学会総会で、大阪市立大学医学部附属病院呼吸器内科の光岡茂樹氏が発表した。

 JCOG0803/WJOG4307L試験では、高齢者進行NSCLCに対するDP併用の週1回投与法の有用性について、ドセタキセル単剤の3週毎投与法との比較検討が行われた。

 対象は70歳以上の未治療のNSCLC患者で、シスプラチンの一括投与が不適切、PS 0または1、根治照射不能のIII期、IV期または術後再発の患者。

 D群では、ドセタキセル60mg/m2を1日目に投与し、3週毎に繰り返した。DP群では、ドセタキセル20mg/m2とシスプラチン25mg/m2を1、8、15日目に投与し、4週毎に繰り返した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は毒性、無増悪生存期間(PFS)、奏効率、FACT-LによるSymptom Scoreとした。

 2008年10月から2010年9月までに276人が登録された。第1回中間解析ではこのうち221人が解析され、生存期間中央値(MST)は、D群17.3カ月、DP群13.3カ月、ハザード比(HR)は1.557(99.99%CI:0.624〜3.884)で、最終解析時にDPが優越性を示す可能性は0.996%となり、試験は早期中止となった
 
 対象全体では、D群137人、DP群139人となった。D群とDP群で年齢中央値はともに76歳、男性の割合は69%と73%、喫煙者は72%と73%だった。PS0/1(%)の割合はそれぞれ36/64と35/65、IIIA、B期/IV期または再発の割合は両群とも31/69、組織型では腺癌がそれぞれ66%と62%だった。

 D群では6サイクル以上の投与が22%で可能だったのに対し、DP群では2%だった。治療サイクル数の中央値はD群4.0、DP群3.0だった。

 治療の中止理由は、D群では病勢進行(51%)、有害事象(35%)が多かった。DP群ではそれぞれ42%と28%で、有害事象による患者の拒否(21%)も多かった。

 血液毒性では、D群で好中球減少が多く、グレード3以上は89%、グレード4は68%に発現した。DP群では10%と1%だった。非血液毒性では、DP群で食欲不振、低Na血症の発現が多く、グレード3以上はそれぞれ11%と15%に発現した。D群では2%と5%だった。治療関連死はDP群の3人(2.2%)で、突然死1人、間質性肺炎2人だった。

 完全奏効(CR)は両群とも得られず、部分奏効(PR)はD群31人、DP群45人で、全奏効率は24.6%と34.4%となり、有意差はなかった。
 
 PFSの中央値は、D群4.4カ月、DP群4.7カ月で、有意差はなかった。

 アップデートされたOSは、D群14.8カ月、DP群13.3カ月で有意差はみられなかった(HR 1.183、p=0.824)。OSを75歳以上と75歳未満で分けても同様だった。

 FACT-Lにおいて、症状が改善する割合は両群で有意差はなかったが、D群で良好な傾向がみられた。

 EGFR変異を認めたのはD群28%、DP群22%で2群間に差はなく、不明はそれぞれ42%と47%だった。試験治療後のレジメン数にも有意差はなかった。

 光岡氏は、今回DP群で有意差が得られなかった理由について、DP群が良好な結果を示したJCOG0207試験と比較し、75歳以上またはPS 1の患者の割合の高さが関与する可能性を挙げた。また、DPの奏効率とMSTが良好だった過去のフェーズ2試験でグレード3以上の貧血や低Na血症の発現が低かったのは、全身状態が良好な高齢者(fit elderly)が多かった可能性もあると話した。